ことば

残 照    -ことばあそび-

     ち  た

     何
       が
         ?

   夕  日

     紅
       い
         ?

     ん  だ

     誰
       が
         ?

   か  ら  す

     黒
        い
          ?

   み  ん  な

     誰
       と
        ?

   帰  ろ

     何
       処
         へ
           ?

   闇  が

     暗
       い
         ?

   届  か  な  い

     遠
       い
         ?

   所  ま  で

       遠 
           い
               ?

   あ  な  た  は

      私
        ?

   誰 ?

        私
          は
            わたし

   い  つ  か  ら  ?

       ず
         っ
           と

   そ  こ  に  い  る  の  ?

       そ
         ば
           に
             いる

   あ  な  た  は  ?

      私
         ?

   誰  ?

        私
          は
            あなた

   わ  た  し  ?

    あなた
        は
          私

   あ  な  た  は  誰  ?

        私 
           は
              誰
                ?

   私  は  誰  ?

        あなた
             は
                誰
                   ?

   あ  な  た  は  誰  ?

          私 
             は
                誰
                  ?

   私  は  誰  ?

            あなた
                 は
                    誰
                      ?


      あなた          あなた
           は     
              誰
                ?


         私      私
             は
            誰
          ?    


         私      あなた
             は
               あなた


        あなた       私
              は
         あなた     


         あなた     ひとり
              は
           私     ひとり


        は  ひ  と  り

          ず
            っ
              と
                ?

      私  は  ひ  と  り

          い
            つ
              も
                ?

      ず  っ  と

          い つ も

                 り
               と
            ひ     






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ギルバート K チェスタトン

おとぎ話はドラゴンの存在を教えるものではない
そんなこと子供たちは知っている
ドラゴンを殺すことができるとおとぎ話は教えるのだ


狂人とは理性を失った人のことではない
狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である


人々はローマが偉大であるからローマを愛したのではない
ローマは人々がローマを愛したから偉大となったのだ


                          ギルバート K チェスタトン


ご存知「ブラウン神父」シリーズの作者 チェスタトンの言葉です。
彼は著作外にもいろいろな言葉を残していますが、その中でも好きな言葉を3つほど上げてみました。

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星の呼び名

今回はリクエストをいただきました「星の名前」を紹介いたしましょう。

星の名前と言っても、惑星、恒星、衛星といろいろとありますし、それぞれの星をまとめた星座などと言うのもありますが、今回はそれぞれを絡めた形で紹介します。
日本語では一つの星や星座をいろいろな呼び方で呼んでいますので一般名に対して呼び名という形で記述いたします。
また 由来がわかるものに関しては記載してみました。

それでは先ず身近な太陽系から
(別名が見当たらないもの、不明なものは省略させていただきます。)

『金星』
 は夜空で最も明るい星で太陽が沈む頃から見え出しますので全国的に「イチバンボシ」の名前が付いています。
枕草子の中では「明星」これは宵の空に見えますので「宵の明星」とも言われています。
明け方の空で見えるときには「明けの明星」と名前が変わります。
また、尾張風土記逸文「星石」には玉置山にある石が「赤星(明星)」が落ちた跡である、とありますので「アカボシ」とも呼ばれていたようです。

『火星』
 螢惑(けいわく)」「ほのをぼし」「夏日星 なつひぼし」
 西郷星 さいごうぼし」
 これは明治の一時期に呼ばれた物で、1877/9/24に西郷隆盛が自決しましたが、その年の9/3に火星が地球に再接近し、夜空に輝いていたためにこう呼ばれたそうです。

『土星』
 「桐野星 きりのぼし」
 土星が火星と寄り添うような位置に来たため。西郷と一緒に戦った桐野利秋の名前からこうよばれたそうです。

『彗星』
「掃星 (ははきぼし)(ほうきぼし)」 空の穢れをはく、という意味
「穂垂れ星 (ほたれほし)」
「扇星 (あふぎぼし)」

『流星』
 「はしりぼし」
 「縁切り星 (えんきりぼし)」
 他の星に縁を切られて落ちていくことから、こうよばれたそうです。 
 「夜這星 (よばいぼし)」
 「星の嫁入り (ほしのよめいり)」
 静岡県では他の星への嫁入りを想像して「ほしのよめいり」と名付け、星が流れるさまを「よめった」と言う地方もあるようです。
 夜這はもともと婚すると言う意味で使われていたものでこれも同様の意味のようです。

「星の宿り ほしのやどり」
 星座のことを日本では古来からこう呼んできました。
ここからは星座や恒星の名前を紹介します

[おおぐま座]
『北斗七星』
 「柄杓星 ひしゃくぼし」
 「桝星」「酒桝」「七つ星」「七夜の星」「舵星」「七星剣」「四三(しそう)の星」「七曜の星」「鍵星」「船星」「北の星」「七ます星」「北のおおかじ」
 「北斗」は中国の名で、南にある「南斗六星」と呼び分けて「北斗七星」と呼びました。
 「北斗七星」を「大柄杓」、こぐま座全体を「小柄杓」とも呼ばれていました。
  海上では北極星を探せることから「アテボシ」と呼ばれて重要視されていました。
  漁師の間では「カジボシ」とも呼ばれ、能登の漁師の間では南斗六星と共に「北の大舵南の小舵」と呼ばれていました。
『おおぐま座η』
 「剣先星 破軍星」
『おおぐま座アルコル』
 「輔(そえ)星」「寿命星」

[こぐま座]
『こぐま座』
 「小七曜 こしちよう」
『北極星 こぐま座α』
 「子の星 ねのほし」「心星」「北の一つ星」「北辰」「妙見」「ひとつ星」「しん星」「めあて星」「めじるし星」「ほうがく星」「きたの星」「北の明星」「北の明神」「きたのおおぼし」
『こぐま座 コカブ(小熊座β星 もと北極星)とヘルカド(小熊座γ星)』
 「やらい星」「ばんの星」「やろ星」「やえの星」「やよい星」「にのほし」

[おうし座]
『プレアデス星団』
 「六連星 むつらほし」「昴 すばる・すまる」「いっしょう星」「くさ星」「はごいた星」「つと星」「くようの星」「すわり星」「もくさ・おくさ」「ななつ星」「すずなり星」「むらがり星」「あつまり星」「そうだん星」「ごちゃごちゃ星」「ぬか星」「ほうき星」「すすき星」「つち星」「みそこし星」「すいのう星」「はほがた星」「かんざし星」
 枕草子の中に「星はすばる、ひこぼし、明星・・・」と言う一節もありますね。
 ゴチャゴチャして見えることから「ゴチャゴチャボシ」、六つ見えることから「ムツラボシ」とも呼ばれていましたが、いやぁ その他にもいろんな呼び方があるものですね。
『ヒヤデス星団』
 「釣鐘星 つりがねぼし」「扇子星」「撞き鐘星」「苞星」「つと星」「もっこ星」
 「いなむら星」「こや星」「みの星」「うまのつら星」「かりまた」           『おうし座アルデバラン』
 「あと星」「あか星」「すまるの尾の星」

[しし座]
『しし座』
 「糸かけ星 いとかけほし」
『獅子座の頭部の6つの星列』(頭から前足にかけて)
 「獅子の大鎌 ししのおおかま」
 また、大鎌を逆さにして雨樋を支える金具と見た
 「トイカケボシ」(樋懸星)と言う名もあります。

[からす座]
『からす座』
 「皮張り星 かわはりぼし」
 「からす座」は「おとめ座」の南西にある四つの三等星が四辺形を作っていますので
 「四つ星」「だいがら星」「まくら星」「つくえ星」「はかま星」「ほかけ星」「ムジナのかわはり」と呼んでいる地方もあります。
                               
[うしかい座]
『アルクトゥートス(牛飼い座α)』
 「五月雨星 さみだれぼし」「雨夜の星 あまいのほし」「狗賓星 ぐひんぼし」「麦星 むぎぼし」「麦刈り星」「麦熟れ星」「よんじょう星」「かじがい星」「うおじま星」「のとにらみ」

[おとめ座]
『スピカ』
 「真珠星 しんじゅほし」

[ふたご座]
『ふたご座』
 「門杭 かどくい」門星、松杭、餅食い星、雑煮星 かどや星 としとり星
  旧正月の頃に、カストルとポルックスが直立して柱のように見えるため正月にちなんだ名前で呼ばれることが多いようです。。
『ふたご座 カストル/ポルックス』
 「カストル」は「銀星ギンボシ」、「ポルックス」は「金星キンボシ」が有名です。
 2つ対になっているため。
 「二つ星 ふたつぼし」「夫婦星」
 その他は2つの目にたとえられることが多く以下のような名前があります。
 「蟹目」「がにのめ」「かれーんめ」「犬の目」「猫の目」「目玉星」「両目星」「睨み星」「巨人の目」「両眼りょうがん」「めがね星」「めだま星」「にらみ星」「えちぜん星」「なげ星」  

[さそり座]
『さそり座』
 大きな「S」字型を釣り糸から釣り針に見立てて
 「魚釣り星 うおつりぼし」「鯛釣り星」「漁星」「柳星」
『アンタレス』
 赤い色より
 「酒酔い星 さけよいぼし」「赤星」「豊年星」「さけかい星」「さけうり星」「むぎ星」
『アンタレスと、σ、τの三ツ星』
 左右の星を両親に見立て
 「おやかつぎ星」「おやにない星」
 左右の三等星と山形になっているのを農夫がかごを担いでいる姿と見て
 「籠担ぎ星 かごかつぎぼし」「天秤棒星」「朸星」とも呼ばれます。
 その他の呼び方は
 「あきんど星」「あわいない星」「さばうり星」「おかご星」「よめいり星」「あきない星」「たるかつぎ星」「にかつぎ星」「おーこ星」「くまで星」「おざる星」「おやかた星」などがあります。
『さそり座μ星』
 これは肉眼二重星で瞬く様子が相撲をとってるように見えたためか
 「相撲取り星 すもうとりほし」とも呼ばれます
 その他には
 「からす星」「きゃふばい星」「おながわ星」「そが星」「おっかけ星」「しじゅうぐれ」「むぎたたき星」などがあるようです。
『サソリの尻尾』
 きれいな青い星が二つ並んでいますので
 「蟹の目星」とか「おとどい星(兄弟星)」「夫婦(みょーと)星」「ごろうじゅうろう」「こめつき星」「ふたつ星」とか呼ぶ地方もありました。

[かんむり座]
『かんむり座』
 「たいこ星」が一般的で
 他には車に見立てた「車星」
 籠に見立てた「籠星(かごぼし)」
 かまどに見立てて「竈星 かまどぼし」「鬼の竈」「長者の竈」「地獄の竈」「おかま星」などと呼んでいる地方もあります。
 その他変わったところでは
 「くびかざり星」「からかさ星」「おどりこ星」「にじ星」「いどばた星」「ゆびわ星」「はんかけ星」「きんきゃく星」「どひょう星」「ひずめの星」「くど星」「こうじん星」「へっつい星」など由来不明なものも・・・

[こと座]
『こと座 ベガ』
 昔から「タナバタ」と各地で呼ばれていました。
 「織姫」「棚機」「織り子星」「織女(たなばたつめ)」
『こと座のεζ』ヴェガと正三角形を作っている五等星二つ
 「七夕の子 たなばたのこ」
『こと座のβγδζ』
 四星が平行四角形なところから
 「瓜畑 うりばたけ」「瓜きりまな板」
 熊本地方では「タナバタの麻小笥(オコゲ)」と呼んでいるようです。
 オコゲとは麻を紡いで入れる桶での事だそうです。

[わし座]
『アルタイル』
 昔から「ひこぼし」と呼ばれ枕草子にも載っている古い名前です
 「いぬかい星」「うしかい星」「うしひき星」「いなみ星」なども有名
『鷲座αβγ』
 「河鼓三星 かこさんせい」「天鼓」
 沖縄では「継嗣星(ままくわぶし)」
 アイヌでは「ウナルベクサ・ノチウ(老婆の川渡り星)」
 などとも呼ばれているようです。
『わし座アルタイルの北東にある暗黒星雲』
 「鷲の黒い穴 わしのくろいあな」
     これはかなり新しいものでしょうね・・・

[はくちょう座]
『はくちょう座』
 「北十字」「十文字星 じゅうもんじぼし」が一般的です。
『デネブ』
 「古七夕 ふるたなばた」

[イルカ座]
『イルカ座のαβγδ』
 「菱星 ひしぼし」

[アンドロメダ座]
『アンドロメダ座のαβγδ』
 「斗掻き星 とかきほし」

[カシオペア座]
『カシオペア座』
 Wを逆さに見た
 「やまがた星」「錨星 いかりぼし」が一般的でその他は5つつの星の集まりから
 「ごようの星」「ごよせ星」「いつつ星」「かどちがい星」など

[オリオン座]
『オリオン座』
 「鼓星 つづみぼし」「よつ星」「くびれ星」「そで星」
『オリオン座ベテルギウス・リゲル』
 二つの1等星「ベテルギウス」「リゲル」の二つの星はミツボシを挟んで対抗しているように見えるので、武士の棟梁争いの源氏と平氏に見立て赤い「ベテルギウス」を赤旗の「平家星」、白い「リゲル」を白旗の「源氏星」と呼ばれていました。
 2つあわせたものの呼び方としては
 「わき星」「かなつきのあいて星」「むづらばさみ」「かなつきのりょうわきだて」
『オリオン座のδεζ』
 オリオンのベルトに当たる「みつ星」
 「さんこう」「さんちょうの星」「さんじょうさま」「さんだいしょう」「しゃくご星」「おやにない星」「おやこうこう星」「かせ星」「たけのふし」「はざのま」「たがいな星」「どようさぶろう」「からすき」「ごうます」「みずくみ星」「さんたろう星」
 すごい数あるんですね・・・
『オリオン座のθιη』オリオンの剣に当たる「こみつ星」
 「いんきょ星」「こさんじょう」「とも星」「まね星」「よこみつ星」「ぼんてん星」
『オリオン座のδεζθιη』(みつ星とこみつ星をあわせて)
 「柄鋤星 からすきぼし」「さかます星」「よこぜき」「すごろく星」「むづら」「がんだれ星」「まぐわ星」「くまんで星」「ごうます」「こながら星」「あぶらごう」
 
 オリオン座の呼び名の多さは重要な星座であることを示しているのでしょうね

[おおいぬ座]
『おおいぬ座の尾』
 「さんかく星」「くらかけ星」「みぼし」「うろこの星」「くらのむね」「くらはし」「なっとうばこ」「あぶらげ星」
『シリウス』
 「天狼 てんろう」「青星 あおぼし」 「おお星」「あと星」「かぜ星」「いかびき星」「えのぐ星」「ゆき星」
 やはり青いイメージの名前が多いようです。

[こいぬ座]
『プロキオン』
 「色白 いろしろ」「ちいさいおおぼし」

[りゅうこつ座]
『カノープス』
 「南極老人星」が有名
 讃岐では「横着星 おうちゃくぼし」
 茨城県では「(かずさの)おしょう星」
 千葉県館山では「入定星」
 千葉県勝浦と伊豆の伊東では「布良星 めらぼし」
 淡路では「なると星」「あわじ星」
 その他は「ろくぶの星」「だいなん星」「みなみのひとつ星」「ざぶざぶ星」「あきら星」「ひがん星」「げんごろう星」「なんきょくじゅせい」などと呼ばれています。
 
 関東では南の地平線にわずかに上る程度なのでシリウス(-1.48等星)に次ぐ輝星とは思えないほど暗く見えます。(カノープスは-0.72等星)

[いて座]
『いて座』
 「みぼし」「ふじみぼし」「たかみぼし」「みなみのこかじ」「みなみのかじぼし」

[ギョシャ座]
『ギョシャ座』
 星が五角形に並んでいるので日本各地で「ごかく星」「いつつ星」と呼ばれています。
『カペラ』
 五色に輝くことから「五色星」日本海側の一部の地方にでは現在でも「五色のカペラ」とも言われています。
 その他は「かんびん星」「能登星」「佐渡星」「やざき星」「すまるのえーて星」「きたすまい」「ぜに星」「さき星」など

まだまだあるようですが、有名なところを紹介しました。

また 無数の輝く星を「煌星 きらぼし」と呼んだり、 細かく散らばっているたくさんの星を「糠星 ぬかぼし」と呼んだり更には 吐く息さえも凍ってしまうような気温(-50℃)のときの微かな音のことを「星の囁き ほしのささやき」と表現したり、日本語には星にまつわる言葉もたくさんあります。

また何かの機会に紹介いたしましょう。

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たまゆら

春の宵にちなんで、昔作った恋歌などひとつ


たまゆら

金糸銀糸の織り成す錦
舞うは桜の白拍子
十六夜の月蒼く
遠く響くは琴線の音
ゆらゆらたまゆら耳すまし
春香にゆだねる目蓋の重み
纏える風に想いをたくし
さぞや恋し さも恋し

返歌

宵の闇とて舞う花の
雪の如くは月明かり
十と三つの縦糸に
叶わぬ術に爪を立て
揺れる想いに紅をさす

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「帰郷」

ずいぶん昔の記憶の中にある1シーン。
10年ほど前に書いたお気に入りのショートストーリーです。



   「帰郷」

 森を抜け、その寂れた小さな町を通りかかった時・・ふと思った。
それは 何がきっかけというではなく、見上げた時に路地のすき間から映った
空の青さのせいか、その空に一筋引かれた飛行機雲のまぶしさなのか
それとも くすんだ木の壁に響く子供達の走り去る足音か・・・
いずれにせよ私の視界は夕刻の残照の中で色を失い、総てが時間の中を退行し始めた。

「帰郷(かえ)って見るか・・」
そう意識したのは、その小さな北の町で夕食を取り とっぷりと暮れた空の下を
国道まで走った後だった。
しかし そのハンドルは遥か西の まだ標識にも出てくるはずの無い街を目指していた。
何時間走り続けたのかは憶えていないが2度目の夕日が眩しい。
太陽は道が吸い込まれる山の中へと重さに耐えかねたように潰れながら飲み込まれていく。
その逆光の中にやっと見慣れた街の名前が通り過ぎていった。
「あと・・・500km」
それまで意識していなかったエンジンの鼓動が胸の下で高鳴り始めた。
それを制する様にその辺りではほとんど無いシグナルが赤へと色を変える。
「ふふ・・」無意識に笑って かなり手前でエンジンを止め 道端にバイクを寄せる。
日の落ちた残照の中を畑仕事を終えた老夫婦が牛を牽きながら横切っていく。
おやじはよそ者を怪訝そうに見送ったが おかみが人懐っこい笑顔で話しかけて来た
「どちらまでいかれますの?」
「九州・・まで」思わず なんとも懐かしい笑顔に会釈する。
「はぁ・・そりゃまだ長いわなぁ」
「あとひといきですよ」
「どちらから来なさった?」
「青森・・あたりだったかな」
「そりゃ大変だったわなぁ」
「ちょっと 帰って見ようかな・・って」
「郷ですか?」
「ええ・・・」
「そりゃあええ 気いつけていきなされや
 わちらの息子もとんと帰って来よらんでなぁ」
「あはは どうも・・・おばさんも気いつけてな」
「そいじゃ・・・」
老夫婦はそう言うと軽く会釈をして夕闇の中に牛をひきながら見えなくなっていった。
「さて!」
おもむろに少し冷えたエンジンに火を入れる。
ややもたつきながら やがて心音を安定し始めた。
もどかしげに腰を上げ 一気にクラッチをつなぐ。
今まで眠っていたマシンはいきなり咆哮を上げ そしてまだ浅い闇へと溶けていく。

やがて夜が白み始めるころ 辺りを包む朝靄に乗って懐かしい海の香りが漂い始める。
眠たい目に少しだけ笑いが浮かぶ。
「このトンネルを越えれば・・・」
ためらいも無く長い闇の中へと潜り込んでいく。
しかし 闇を抜けた瞬間から言葉にはならない、なんというか ごく些細な
空気のずれのような違和感が頭の中をかすめる。
「こんな・・だったかな?」
いくつか通り過ぎる見た事も無い建物と道路がその違和感の元だろう。
その感覚も 目に映る見覚えのある景色がかき消していく。
そして街を外れ やがてやや寂れたその町へと向きを変える。
「そうそう これだ」
自分の中でなにやら訳のわからない納得を繰り替えしながら
やがて 川のほとりにある小さな屋根が目に入って来た。
迎えてくれたのは 自分の予想よりも遥かに年をとったおやじだ
「帰って来たか・・・」
さり気なく不器用な笑顔は 時の隔たりを一気に叩き壊した。
その瞬間から 自分の中で止まって・・いや 止めていた故郷の時間が
ゆっくりと動き始めた。
中に入るとおふくろの笑う顔、昔と何が変わるわけでも無い
ただ 流れ始めた時がその歳月の深さを告げるだけだ。
その夜 酒を飲みながら過ぎて来た歳月の長さを確認する。
それはあたかも旅に出た訳と今ここにいる理由を確認するように
そして その想いを一気にグラスから体内へと流し込んだ。

次の朝 久々の暖かい床の中から気だるい身体を引きずり出し
ごくあたりまえのようにバイクのキーを握り締め ブーツに足を通す。
「なんだ もう行くのか?」
後ろからおやじがぶっきらぼうに聞く
「ああ また来る」
振り向くと おふくろが心配を噛み殺した笑顔で笑う。
「気をつけて・・・たまには連絡しなさい」
「ああ・・・」
そう告げてエンジンに火を入れる。
川にかかる小さな橋を渡り 少し坂を上ったところで一旦振り替える。
朝日が川面に反射し 眩む視界に眩暈を覚え、大きく瞬きをした。
その刹那、若き日のおふくろに追い立てられて学校に走っていく自分が
その視界の中を横切った。
思いっきり空を仰ぎ眩暈が落ち着くのを待って一気にクラッチをつなぐ。
一瞬だけの幻惑・・・
しかし 考えて見るとおかしな物だ・・・
この家から学校に通った事など無いはずなのだ。
生れてから何度も引っ越しを繰り替えした自分にとって
はたして故郷というものが何なのか?
それはどこに存在し、どれだけの意味を持っているのだろう
いつのまにか時間を止めてしまった自分の記憶だけがそれなのだろう
そして おやじやおふくろもこうして再会するまではその時を止めて
思い出という名の故郷をそこに共有しているのだろう。
再開する事で流れ始めた時間は一気に記憶を駆け上り 日常へとたどり着く
そうしてまた旅立つ事でその時間を止めるのだ。
今日という思い出をまた故郷という記憶に置き換えながら。
高鳴る鼓動はいつのまにか新しい道への期待へと変わっていた。

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[ジョーク] 最高の・・・

最高の生活――アメリカ人と同じ給料をもらい、イギリスの家にすみ、日本人の妻を持ち、中国人のコックを雇う。

最悪の生活――中国人と同じ給料をもらい、日本の家にすみ、アメリカ人の妻を持ち、イギリス人のコックを雇う。

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う~む・・・
これも民族に対する考え方なのか(^^;)
なんとなく分かる気がする所が恐い(笑)

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「遊撃とその誇り」

「きみは飛びたいと思うか?」
とある日、アメリカから亡命してきた演劇青年が私に聞いたことがある。
「もちろん」
と私は答えた。
「では、きみは鳥に変身したいと思うだろうね」
と彼は言った。 ノオーと私は答えた。
「私は鳥になんかなりたくない。私は私自身のままで飛びたいのです」
オゥ! とアメリカ人は肩をすくめた。「きみは飛行機の話をしていたのか。
私は哲学の話をしていたのに!」
---だが、私は飛行機の話をしていたのではなかった。「背広を着たまま飛びたい」と言うのは、私自身のの哲学だったのである。

                  寺山修司  「遊撃とその誇り」

私の好きな寺山修司氏の自身の哲学が見える一節です。

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「Anyones Daughter」

たてまえなんか 地獄に落ちてから通せばいい

               みやすのんき 「Anyones Daughter」

リフレッシュと言う作品集仁納められた作品ですが、
彼の作品の中でも一番お気に入りの一つです。

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キャラクター設定 -歴史(おいたち)しぐさ ポーズ-

それでは キャラクター作成パート2と言うことで、残りの部分 歴史(おいたち)しぐさ ポーズを解説します。

2.歴史(おいたち)
これは、育った環境と共にドラマティックな経験や恐怖体験などを特に重点的に設定します。
これを設定する事で、物事に対する判断の基準やトラウマ、癖やしぐさや自己表現などもそこからにじみ出て来ます。
より深い性格設定の基礎となるもので、この設定がしっかりしているとあやふやな判断や危機一髪のシーンでの行動や判断の間違いが少なくなります。
つまり「このキャラはこういう時こんなことしないよ」って言われるような行動を自然と取らなくなります。
これが結構ストーリーを作る時に大切なことでぼやけた設定をしていると作者の判断基準だけでストーリーが進んでしまう事になり奥行きが無くなってしまいます。
作者がこれが正しいと感じる事でも、その行動がストーリーの中でのそのキャラクターらしい行動とはかけ離れてしまうことはよく有ります。
それでは、実際の例で私のHPで公開しているデジタルフェアリーの中から「ネイモア」と言うキャラクターの生い立ちの設定は以下の通りです。

ボストンのスラム街にて出生
母親は天才ピアニストと称されたがネイモアが4才の時に交通事故にて死亡。
父親は不明。母親のマネージャーであったとかレコード会社のプロデューサーであったとか言われるが真実は分からない。
「不幸の天才」と呼ばれた母親はデビュー後もあまり売れることは無く酒場でピアノを弾き生計をたてていた。
風体はか細く、ストレートのプラチナブロンドは彼自身も受け継いでいる。
着飾ることは無いが、いつも赤いハイヒールを履いていた事も有りネイの中では「女性=赤いハイヒール」と言う暗黙の図式があるのかもしれない。
母の死後は身寄りも無く公立の施設に引き取られるが半年で脱走。
その後マッドサイエンティストと呼ばれるDr.サイマルに育てられる。
ネイモアがDr.サイマルに「オセロ」で賭けをして勝ったことで研究室兼自宅に転がりこんだのが原因である。
Dr.サイマルに基本的な電子工学、機械工学、生体工学を学び、元々の利発な頭脳もあって12才でその全ての博士号を修得。
15才の時に体質の適合もあって肘にデジタルリンク手術を受ける。
16才の時にDr.サイマルは実験中の事故で死亡。
以後は自己の理論を追求し、生体工学のタブーに迫る研究を始める。
このタブーとは自分の思い通りの生命を作り出すということである。

これでも大雑派な設定ですが、この生い立ちからちょっとひねくれたあの性格設定が出来あがっているのです。

3.しぐさ ポーズ

さて最後に特徴的な見てくれの部分です。
ビジュアルが有るにせよ文章だけにせよ、必ずちょっとしたポーズやしぐさの表現が出て来ますが、これが割とそのキャラクターの特徴を醸し出しています。
また そのための小道具と言うのが活躍します。
例えば、同じデジタルフェアリーに登場する「ギルモア」と言う刑事役のキャラがいますが、その小道具として「安物の葉巻」と言う物を用意しています。

ストーリーの中での表現を上げると

名前はギルモア、小汚ねぇトレンチコートに安物の葉巻を咥えてなんともいけすかねぇ奴だ。
ギルモアは吸いかけの葉巻を灰皿に突き刺して3番街に有るジェイクの店に向かった。
ギルモアはテーブルの端でマッチに火を付けゆっくりと葉巻に近づけた。
ギルモアは不機嫌に葉巻に火をつける。
ギルモアは上目使いで葉巻をもみ消しながら言った。

と言った感じで使っています。
このちょっとしたしぐさの表現がその場の雰囲気とキャラクターの性格やその時の心理をうまく表現できます。
また、これは口癖と同じようにそのキャラクター独自のもので、他のキャラには絶対にとらせないように心掛けています。

映像が有る場合は立っている時の手の位置や目線の配り方、そして手振りの癖や顔の傾げ方に至るまで細かいポーズ設定をしておくとそのキャラクターの特徴をより明確にする事が出来ます。

・・・と、ここまでに挙げた事が私がキャラクターを作る際に特に気を配っている事です。
細かい事を挙げればキリが無いですが、それは今後の機会にいろいろとお話しするとして、キャラクター設定に関しては(世界設定は除くとして)このくらいは最低限設定しておくと良いのではないでしょうか。

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キャラクター設定1 -言葉使い-

さて少し時間があいてしまいましたが、キャラクター作成について解説します。
キャラクターを設定する時は先ず以下の項目を埋めていきます。

名前    性別     年齢(生年月日)
出身    職業     血液型
家族構成
性格
身体的特徴

通常はメモ書きのように書き留める程度ですが多人数での作業が有る場合など
必要に応じてはキャラクターシートを作製します。
そしてこれも必要に応じてですが、だいたいのビジュアルイメージを作成します。
ここまでは普通のキャラクターメイクの要領ですがここからが実際に肝腎な部分になります。
では私がこの後に設定する物を大きく分けて列記して見ます。

1.言葉使い
2.歴史(おいたち)
3.しぐさ ポーズ

たったの3つですが、中身は非常に濃い物です。
では順を追って項目を解説していきましょう。

1.言葉使い
これは細かく分けると以下のようになります。

○語尾表現
 これは、出身地や性格、性別などから考えていく事になります。
 標準語で ~だ。 ~です。 ~ます。などに関する物を設定します。
 男性だと ~だぜ。 ~だよ。 ~さ。
 女性だと ~よ。 ~だわ。 ~ですわ。
 などがあげられますが、これでははっきりとしたキャラクター性が出て来ません。
 そこで出てくるのが方言です。
 ~げな。 ~ずら。 ~ちゃ。 ~だべ。 ~やで。 ~どすえ。
 ~なも。 ~なや。 ~だぎゃ。 ~だも。 ~だわさ。 ~ぜよ。
 上げていくとキリが無いですが、全国津々浦々網羅すればいくらでも出てくるでしょう。
 また語尾だけでは無く同じ場所の方言にも柔らかい言い方、強い言い方、
 女性、男性と表現が変わってくる物です。
 例えば「だめです」を関西弁で表現するとどうでしょう?
 「あかん」「あかんわ」「あかんで~」「あきまへんな」「あきまへんで」「あかんやろ」
 とまぁこんな感じです。
 これよってこのキャラクターの基本的な喋り方、語調を設定します。

○人称表現
 「わたし」「あなた」「彼(彼女)」の表現です。
 3人称は特に設定する必要は無いかと思いますが1人称と2人称は決めておきます。
 これはまずひたすら列挙してみましょう。
 1人称
  わたくし、私、あたし、あたい、わし、ぼく、僕、我、自分、あちき、拙者、みども、
  吾輩、わい、わて、あて、ちん、うち、あ、わ、手前、おいどん

 2人称
  あなた、あんた、君、きみ、貴方、貴様、貴殿、御主、おんし、そこもと、そち、けい、
  そなた、おまえ、な、おんどれ、おのれ、てめぇ

 等が上げられます。また2人称に1人称を充てる場合も有りますね 例えば「自分」とか「我」とか
 更に文字にした場合はひらがな、カタカナ、漢字と使い分ける事で更に雰囲気が変わって来ます。
 キャラクターによってそれをうまく使い分ける事で更にキャラクター性を強める事が出来ます。

○語調と口癖
 語尾表現と人称表現でだいたいの語調が決まって来ますので、特徴的な台詞をメモしておきます。
 特に、このキャラクターが普段何気なく使っている「口癖」を設定しておく事で
 似たようなキャラクターを登場させる場合にもかぶらなくて済みます。
 そしてココが一番大事なところですが、ここで設定した台詞はこのキャラクター
 のみのものであると言う事を常に心掛けてストーリーを作ると言うことです。
 つまり言えば、ここで設定された言葉は他のキャラがこのキャラをまねする時以外は
 他のキャラクターは絶対に使わせないと言うことを意識することです。

このように先ずは言葉使いを綿密に設定します。
また、語調で解説したように、特徴的な喋り方と言う物を明確にして、その規則を通す事で
ストーリーの中でのキャラクターの個性がしっかりと見せられるようになります。
では今回は「言葉使い」の設定までにして次回に「歴史(おいたち)」と「しぐさ ポース」
の解説をすることにしましょう。

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