それいゆ 3 -チーズ-

今日は朝から思いもかけないところで思いもかけない人に会った。
いつも仕事がひとこごち区切りが付くたびに足を運ぶ小さなバーがあるのだが、そこのマスターによく似た人がバス停に立っている。
夕刻で、店の付近であればそんなに驚くことはないが 今は朝の8時で、しかもここは店から遠く離れた・・・と言うよりは当時私が住んでいた箱崎という倉庫や貿易会社のある場所で、福岡市の中でもかなり辺境地である。
「おはようございます。 マスター・・ですよね」私はおそるおそる声をかける。
「おや お早うございます。 こんな所で奇遇ですね」とマスター
「私の家がこの辺ですから・・・」
「そうでしたか。実は昨晩からこの近くの輸入会社にチーズの買い付けに来てましてね」
・・と嬉しそうにニコニコとしながら話している所を見るときっと何か良い素材が入手できたようなので訪ねてみた。
「楽しそうですけど 何か珍しいチーズでも?」
「はい、それはもう是非ともご紹介致したいものが・・・」と笑顔で答えてくれた。
「それは楽しみだ 早速今晩にでもおじゃましますよ」
「お待ちしております」
・・と話しているうちに私の乗るバスが着いて軽く会釈をして乗り込んだ。

さて仕事も終わり今朝の会話を思い出しつついそいそとその店に向かう。
そこは80年代も後半になろうというのに今だに「トリスバ-」の看板を掲げ、その下に遠慮がちに「それいゆ」と書かれている。
店に入るとコートハンガーに上着を引っ掛け、いつものカウンター席へ。
「いらっしゃいませ」・・・とマスターがいつものようにおしぼりと一杯のジン。
そしていつものようにやおらその一杯を流し込む。
「ん!? これは・・・」いつもと違った飲み口に思わず唸ってしまった。
今までいろんなジンを飲んできたがこの味わいは初めてで重さの中にすっきりとした抜けの良い香りと喉ごしの良さを感じる。
「美味いなぁ でも初めて飲む味です。」
「ですよね、ちょっとした出来心でして・・・」とマスターがカウンターにボトルを並べ始めた。
ブードルス、タンカレイNo.10、ゴードン・オールドトム、そしてポンペイサファイア
「え? まさかそれを?」
「はい 今日はブレンドしてみました。」とマスターが微笑む
「今日は 少々仕掛けがありましてね・・・」 そう言いながら薄く切られた白いチーズを2切れほど銀の小さなトレイに乗せ先ほどのブレンドジンをもう一杯用意してくれた。
「チェシャーチーズです。イギリス産で多少塩みが強いので薄めにスライスしました」
勧められるままに一枚口に運んでみる。
なるほど あまりクセがなく少しの酸味と強めの塩気が嫌味なく口に広がってくる。
後味もしつこくなく滑らかなミルク臭がのこり、そこにこのジンを一口含む。
「うまっ!」思わずながら口から声がこぼれた。
ジンのハーブと絶妙にマッチして爽やかに喉から鼻に抜けていく感じがなんとも心地よい
「いたずらが功を奏したようですね」マスターがカウンターの向こうで微笑む。
「いたずら・・ですか?」と聞くとマスターはニコニコしながら答えてくれた。
「ええ 実は氷は使いませんけど軽くシェイクしてあります。
 それからこれが本当のいたずらですけどね・・・」と言ってシェリーのビンをカウンターに置いた。
「シェイカーにそっとくぐらせてあるんです。」
「なるほど 魔法の正体はフィーノですか」
「はい 今日はフィノよりもチーズと相性の良いマンサニーリャを使ってみました」
「それじゃこれが ラ・ゴヤですか 初めて見ました」と ボトルを手に取った。
「おや そうでしたか では少しなめてみますか?」・・とショットグラスに1/3程注いでくれる
「これが ここにくる楽しみですから」そういいながら香をかいで口に含む。
スッキリとした口当たりの後からほんのりとアーモンドのような残り香が心地よい。
それに「気のせいか少し塩気があるような・・・」
「ラ・ゴヤは海岸の近くだそうですから きっとそのせいでしょうね」とマスター。
そして今度はやや硬そうなチーズを小さなキューブにしてなんともかわいい皿に3つほど転がしてくれた。
「こちらが今日のとっておきです。」
見た目はやや濃い目の黄色でおそらく一番外側であろう部分はさらに乾燥していて白く粉をふいている。
この粉はカビなのか塩なのか・・・と考えながら口の中へと放り込んでみた。
「しょっぱ!・・塩か、この味はヤギ? いや羊か・・・」と思わず呟く。
「少し酸味があって 乾燥して・この後味・・あっ!」その瞬間 かなり昔の記憶が駆け上ってきた。
「ベドウィンのテントの上で干してたやつだ」
「やはりこれでしたか」マスターがニコリとする。
「うわぁ 懐かしい よくこんなのあつかってましたねぇ」
「はい 以前このチーズのお話を伺ったときから 私も一度は食べてみたくて業者さんに探してもらえるようにお願いしてたんですよ」
「すごいですねぇ またこれを食べられるとは思いませんでした、・・でマスターの感想は?」
「お話いただいたダイナミックな作り方からは想像できないくらい繊細な味でした。しかしこの皮がいけない。
適度に発酵した旨味とコリコリとした小気味よい食感が強い岩塩の塩気と仄かな苦味と絶妙に合ってて止まらなくなります。」とマスターは笑いながらなにやらリキュールグラスに注いで私の前に置いた。
「試してみてください。」
私は言われるがままに塩気の強い皮の部分を口に放り込んで味わい、そしてグラスの中身をグッと一気にいった。
「ふぅ 旨い! テキーラか こりゃやられたね」
「やっぱり こう言った塩味にはコイツが合いますね」マスターは嬉しそうに笑いながらいつものターンテーブルにレコードを乗せゆっくりと針を落とした。
「今日はおいでになるとの事でしたのでこんな曲をご用意いたしました。」
流れてきたのは芯の強いドラムに小気味の良いヴィブラフォンの旋律。
奏でているのは「ウォルト・ディッカーソン カルテット」
彼の幻のアルバム「Lawrence Of Arabia:Jazz Impressions」の中の
「That is the Desert」という曲だ。
カウンターの上には晩秋に似つかわしくない暑く乾いた風を感じた。

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それいゆ 2 -クリスマスの夜-

年の瀬も押し迫ったとあるクリスマスの夜。
仲間たちと居酒屋でささやかなパーティを過ごした後 足は何のよどみもなく自然とその方向に向かっていた。
そこは 歩き始めた天神から2kmと少しといったところか、時間にして約30分の行程をいつも徒歩で移動する。
その店は80年代も後半になろうというのに今だに「トリスバ-」の看板を掲げ、その下に遠慮がちに「それいゆ」と書かれている。
ここの常連の椅子を得たきっかけは勤めていた会社の社長の紹介であったが、この店のバーテンダーであるマスターとお互い無類のジン好きというのもあって馬が合い、その会社を辞めた後もずっと通い続けていた。
扉を開けてカウンターに座るとおしぼりと同時にジンの入ったショットグラスが置かれる。
『とりあえずジン』というわけではないが、なんとなくうれしい。
今日も差し出されたリキュールグラスを一気に流し込む。
スッキリと広がる強めのジュニパーベリーの香りと共にやや甘味がかった後味がトムであることを気づかせてくれ 思わず「トムもいいね・・」と呟く。
マスターは口の左側を小さく上げて微笑んだ。
この店はそんなに華やかに飾るわけでもなく、店の入口に小さなリース、それからカウンターにいくつか並ぶ小さなキャンドルがかろうじてクリスマスであることを思い出させてくれた。

「それじゃあアレキサンダーズ シスターを作ってもらおうかな・・」と呟くと間髪入れずマスターが
「だめですよ! あなたにお似合いではありません」と笑った。
そして笑い声がもうひとつ。
椅子ひとつ離れたお隣ですまして飲んでいたOL風の女性
「あはっ ごめんなさいあんまりストレートだったからつい あはは」
「申し訳ございません」とマスターは軽く彼女に会釈して続けた
「どうもこの御仁は冗談がお好きなもので・・・」
「たまにはミントもいいなぁと思っただけなのにぃ」・・と私が言うと
「あんな変態的なカクテルを頼まれるような方にはいささかかわいすぎるかと・・」とマスター
「なにか変なお酒たのまれたんですか?」と不思議そうな顔の女性に私が答えた
「ごく普通ですよ・・・ラム、ジン、ウォッカ・・・ジャックダニエル・・かな」
「あらそんなに不思議な飲み物でもなさそうね」と女性の言葉にマスターが
「1つ1つは普通ですがそれを全部混ぜて飲む方は見たことが御座いませんでした」
「いやスペインにいた時、黒人の友人がバルで『こんな酒じゃ酔えねぇからそこらの全部混ぜてもってこい』って言って飲んでたんでどんなものかと思ってね」
「・・・で?」女性は低く頬杖をついて見上げるように尋ねた
「とてもこの世のものとは」・・と私は首を振った
「じゃなくてぇ ご友人はめでたく酔うことができたのかな?」
「そりゃもう おかげで2m近い酔っ払いを2kmほど引きずって・・・」
  あははははっ! 店中から笑いが飛んできた
狭い店なので丸聞こえだし、常連たちは面白い話には遠慮なく喰いついて来る。
もちろんこの女性もカウンターで前々からよく見かける方だがいままで一人でクールに飲んでる印象もあり 話しかけたことなど一度もなかった。
ひとしきり笑い声が落ち着いたところで彼女がそっと腕時計に目をやりながら私に呟いた。
「そろそろ最後にしようかな・・・なにかおすすめある? 今年最後の一杯」
「へっ??」私は自分を指差しながらちょっと丸い目をして女性を見つめた。
「そっ! いつもマスターと楽しそうにお酒の話してるでしょ? ロマンティックで・・でもすっきりなのがいいな、ねっ 」
「こういったオーダーはマスターがお得意なんだけど・・・」ちらりとマスターに目をやると「我存ぜぬ」といったとぼけ顔。
そこで思案をめぐらし「それじゃあ ニコラシカはいかがですか?」
「どんなカクテルなの?」
「ここのニコラシカはちょっと変わっててショットグラスにブランデーと・・・後はお楽しみ」
「じゃあ マスターそれお願い」と彼女が微笑む
「かしこまりました」そう言うとマスターは彼女の前にコースターを準備しショットグラスを置いた。
「それじゃ今年最後の一杯は当店からのクリスマスプレゼントです」とヘネシーのXOをふちまで注ぎ、その上にスライスしたレモンをポンとかぶせて更にその上にスプーンでグラニュー糖の小山を盛った。
「あらまぁ すごくかわいいけどどうやって飲めばいいのかしら・・・」
「それでは小さなショーの始まりです」私はカウンターに置いてあった小さなキャンドルをそのグラスに近づけた。
そっと引きつけられるように彼女は明るくなったグラスの中を見つめる。
ひとつ、またひとつとレモンの隙間からグラニュー糖がグラスの中にゆっくりと舞い降り、底に少しずつ降り積もっていく様を無言で眺めていた。
「一年の終わりにレモンの上の雪景色とグラスに舞い降りる砂時計なんていかがですか?」
「素敵ね ありがとう・・・とってもロマンティック」
「それじゃあ 後はスッキリをマスターから」・・と私はマスターの方に手を差し出した。
「飲み方悩むでしょ? 難しく考えなくていいんですよ レモンを指でつまんでお砂糖と一緒に パクッて一口でやっちゃってください。」
彼女は言われるままにレモンで砂糖を挟んでパクッと口に放り込んだ
「ンっっっ!」 すっぱさが広がっているのがとてもよくわかる表情だ。
「そこにブランデーを一気に流し込むんです」・・とマスター。
彼女はショットグラスを持ってすばやく口元に運び、あごと首を一直線にしてブランデーを流し込んだ。
「きゃあ! ほんっと すっきり! もう最高の一年って感じ! それじゃ 良いお年を!」
飲み終わるとすぐに彼女はみんなに手を振って笑顔を残し店を出た。
扉が閉じる音が響き凍りついたような沈黙が残る。

「それじゃ 良いお年を! ・・・・そう一言叫ぶと 彼女はお客全員の視線を集めたまま扉を開けて颯爽と帰っていきました。 おしまい」

私の言葉にみんなは笑いと動きを取り戻した。

「ねぇマスター 差し支えなければ何してる人?」
「女医さんです」
「すごい迫力だねぇ 外科かな?」
「さてそこまでは存じ上げません。」
マスターはそういいながらフランク・シナトラのLPに針を落とした。
流れてきたのは「ホワイトクリスマス」
レコード盤に刻まれた心地よいノイズとともにシナトラの甘い歌声が店に広がる。
そしてマスターはショットグラスを2つ器用に指に挟んでタンカレイのジンとワイルドターキーを同量ずつ注ぎひとつを私に差し出した。
「メリークリスマス!」
囁くような乾杯の音がチンっと響きクリスマスの夜は更けて行く。

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森 景

森景

緑の森の奏でる調べ

耳をすますけものすら

気付かぬほどのかすかな響き

風の奏でる光のハープ

 

蒼き森の奏でる調べ

焼きつく日差しを受けながら

なおも沸立つ木々のリズム

大地の鳴らす太古のドラム

 

紅き森の奏でる調べ

燃える手のひら空に広げ

散り行く刹那に紅をさす

篝火(かがり)にはぜる恋の琴

 

白き森の奏でる調べ

枯れた木立に化粧して

霧も凍れと息を吹く

光に軋む 氷のベル

 

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残 照    -ことばあそび-

     ち  た

     何
       が
         ?

   夕  日

     紅
       い
         ?

     ん  だ

     誰
       が
         ?

   か  ら  す

     黒
        い
          ?

   み  ん  な

     誰
       と
        ?

   帰  ろ

     何
       処
         へ
           ?

   闇  が

     暗
       い
         ?

   届  か  な  い

     遠
       い
         ?

   所  ま  で

       遠 
           い
               ?

   あ  な  た  は

      私
        ?

   誰 ?

        私
          は
            わたし

   い  つ  か  ら  ?

       ず
         っ
           と

   そ  こ  に  い  る  の  ?

       そ
         ば
           に
             いる

   あ  な  た  は  ?

      私
         ?

   誰  ?

        私
          は
            あなた

   わ  た  し  ?

    あなた
        は
          私

   あ  な  た  は  誰  ?

        私 
           は
              誰
                ?

   私  は  誰  ?

        あなた
             は
                誰
                   ?

   あ  な  た  は  誰  ?

          私 
             は
                誰
                  ?

   私  は  誰  ?

            あなた
                 は
                    誰
                      ?


      あなた          あなた
           は     
              誰
                ?


         私      私
             は
            誰
          ?    


         私      あなた
             は
               あなた


        あなた       私
              は
         あなた     


         あなた     ひとり
              は
           私     ひとり


        は  ひ  と  り

          ず
            っ
              と
                ?

      私  は  ひ  と  り

          い
            つ
              も
                ?

      ず  っ  と

          い つ も

                 り
               と
            ひ     






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ギルバート K チェスタトン

おとぎ話はドラゴンの存在を教えるものではない
そんなこと子供たちは知っている
ドラゴンを殺すことができるとおとぎ話は教えるのだ


狂人とは理性を失った人のことではない
狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である


人々はローマが偉大であるからローマを愛したのではない
ローマは人々がローマを愛したから偉大となったのだ


                          ギルバート K チェスタトン


ご存知「ブラウン神父」シリーズの作者 チェスタトンの言葉です。
彼は著作外にもいろいろな言葉を残していますが、その中でも好きな言葉を3つほど上げてみました。

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星の呼び名

今回はリクエストをいただきました「星の名前」を紹介いたしましょう。

星の名前と言っても、惑星、恒星、衛星といろいろとありますし、それぞれの星をまとめた星座などと言うのもありますが、今回はそれぞれを絡めた形で紹介します。
日本語では一つの星や星座をいろいろな呼び方で呼んでいますので一般名に対して呼び名という形で記述いたします。
また 由来がわかるものに関しては記載してみました。

それでは先ず身近な太陽系から
(別名が見当たらないもの、不明なものは省略させていただきます。)

『金星』
 は夜空で最も明るい星で太陽が沈む頃から見え出しますので全国的に「イチバンボシ」の名前が付いています。
枕草子の中では「明星」これは宵の空に見えますので「宵の明星」とも言われています。
明け方の空で見えるときには「明けの明星」と名前が変わります。
また、尾張風土記逸文「星石」には玉置山にある石が「赤星(明星)」が落ちた跡である、とありますので「アカボシ」とも呼ばれていたようです。

『火星』
 螢惑(けいわく)」「ほのをぼし」「夏日星 なつひぼし」
 西郷星 さいごうぼし」
 これは明治の一時期に呼ばれた物で、1877/9/24に西郷隆盛が自決しましたが、その年の9/3に火星が地球に再接近し、夜空に輝いていたためにこう呼ばれたそうです。

『土星』
 「桐野星 きりのぼし」
 土星が火星と寄り添うような位置に来たため。西郷と一緒に戦った桐野利秋の名前からこうよばれたそうです。

『彗星』
「掃星 (ははきぼし)(ほうきぼし)」 空の穢れをはく、という意味
「穂垂れ星 (ほたれほし)」
「扇星 (あふぎぼし)」

『流星』
 「はしりぼし」
 「縁切り星 (えんきりぼし)」
 他の星に縁を切られて落ちていくことから、こうよばれたそうです。 
 「夜這星 (よばいぼし)」
 「星の嫁入り (ほしのよめいり)」
 静岡県では他の星への嫁入りを想像して「ほしのよめいり」と名付け、星が流れるさまを「よめった」と言う地方もあるようです。
 夜這はもともと婚すると言う意味で使われていたものでこれも同様の意味のようです。

「星の宿り ほしのやどり」
 星座のことを日本では古来からこう呼んできました。
ここからは星座や恒星の名前を紹介します

[おおぐま座]
『北斗七星』
 「柄杓星 ひしゃくぼし」
 「桝星」「酒桝」「七つ星」「七夜の星」「舵星」「七星剣」「四三(しそう)の星」「七曜の星」「鍵星」「船星」「北の星」「七ます星」「北のおおかじ」
 「北斗」は中国の名で、南にある「南斗六星」と呼び分けて「北斗七星」と呼びました。
 「北斗七星」を「大柄杓」、こぐま座全体を「小柄杓」とも呼ばれていました。
  海上では北極星を探せることから「アテボシ」と呼ばれて重要視されていました。
  漁師の間では「カジボシ」とも呼ばれ、能登の漁師の間では南斗六星と共に「北の大舵南の小舵」と呼ばれていました。
『おおぐま座η』
 「剣先星 破軍星」
『おおぐま座アルコル』
 「輔(そえ)星」「寿命星」

[こぐま座]
『こぐま座』
 「小七曜 こしちよう」
『北極星 こぐま座α』
 「子の星 ねのほし」「心星」「北の一つ星」「北辰」「妙見」「ひとつ星」「しん星」「めあて星」「めじるし星」「ほうがく星」「きたの星」「北の明星」「北の明神」「きたのおおぼし」
『こぐま座 コカブ(小熊座β星 もと北極星)とヘルカド(小熊座γ星)』
 「やらい星」「ばんの星」「やろ星」「やえの星」「やよい星」「にのほし」

[おうし座]
『プレアデス星団』
 「六連星 むつらほし」「昴 すばる・すまる」「いっしょう星」「くさ星」「はごいた星」「つと星」「くようの星」「すわり星」「もくさ・おくさ」「ななつ星」「すずなり星」「むらがり星」「あつまり星」「そうだん星」「ごちゃごちゃ星」「ぬか星」「ほうき星」「すすき星」「つち星」「みそこし星」「すいのう星」「はほがた星」「かんざし星」
 枕草子の中に「星はすばる、ひこぼし、明星・・・」と言う一節もありますね。
 ゴチャゴチャして見えることから「ゴチャゴチャボシ」、六つ見えることから「ムツラボシ」とも呼ばれていましたが、いやぁ その他にもいろんな呼び方があるものですね。
『ヒヤデス星団』
 「釣鐘星 つりがねぼし」「扇子星」「撞き鐘星」「苞星」「つと星」「もっこ星」
 「いなむら星」「こや星」「みの星」「うまのつら星」「かりまた」           『おうし座アルデバラン』
 「あと星」「あか星」「すまるの尾の星」

[しし座]
『しし座』
 「糸かけ星 いとかけほし」
『獅子座の頭部の6つの星列』(頭から前足にかけて)
 「獅子の大鎌 ししのおおかま」
 また、大鎌を逆さにして雨樋を支える金具と見た
 「トイカケボシ」(樋懸星)と言う名もあります。

[からす座]
『からす座』
 「皮張り星 かわはりぼし」
 「からす座」は「おとめ座」の南西にある四つの三等星が四辺形を作っていますので
 「四つ星」「だいがら星」「まくら星」「つくえ星」「はかま星」「ほかけ星」「ムジナのかわはり」と呼んでいる地方もあります。
                               
[うしかい座]
『アルクトゥートス(牛飼い座α)』
 「五月雨星 さみだれぼし」「雨夜の星 あまいのほし」「狗賓星 ぐひんぼし」「麦星 むぎぼし」「麦刈り星」「麦熟れ星」「よんじょう星」「かじがい星」「うおじま星」「のとにらみ」

[おとめ座]
『スピカ』
 「真珠星 しんじゅほし」

[ふたご座]
『ふたご座』
 「門杭 かどくい」門星、松杭、餅食い星、雑煮星 かどや星 としとり星
  旧正月の頃に、カストルとポルックスが直立して柱のように見えるため正月にちなんだ名前で呼ばれることが多いようです。。
『ふたご座 カストル/ポルックス』
 「カストル」は「銀星ギンボシ」、「ポルックス」は「金星キンボシ」が有名です。
 2つ対になっているため。
 「二つ星 ふたつぼし」「夫婦星」
 その他は2つの目にたとえられることが多く以下のような名前があります。
 「蟹目」「がにのめ」「かれーんめ」「犬の目」「猫の目」「目玉星」「両目星」「睨み星」「巨人の目」「両眼りょうがん」「めがね星」「めだま星」「にらみ星」「えちぜん星」「なげ星」  

[さそり座]
『さそり座』
 大きな「S」字型を釣り糸から釣り針に見立てて
 「魚釣り星 うおつりぼし」「鯛釣り星」「漁星」「柳星」
『アンタレス』
 赤い色より
 「酒酔い星 さけよいぼし」「赤星」「豊年星」「さけかい星」「さけうり星」「むぎ星」
『アンタレスと、σ、τの三ツ星』
 左右の星を両親に見立て
 「おやかつぎ星」「おやにない星」
 左右の三等星と山形になっているのを農夫がかごを担いでいる姿と見て
 「籠担ぎ星 かごかつぎぼし」「天秤棒星」「朸星」とも呼ばれます。
 その他の呼び方は
 「あきんど星」「あわいない星」「さばうり星」「おかご星」「よめいり星」「あきない星」「たるかつぎ星」「にかつぎ星」「おーこ星」「くまで星」「おざる星」「おやかた星」などがあります。
『さそり座μ星』
 これは肉眼二重星で瞬く様子が相撲をとってるように見えたためか
 「相撲取り星 すもうとりほし」とも呼ばれます
 その他には
 「からす星」「きゃふばい星」「おながわ星」「そが星」「おっかけ星」「しじゅうぐれ」「むぎたたき星」などがあるようです。
『サソリの尻尾』
 きれいな青い星が二つ並んでいますので
 「蟹の目星」とか「おとどい星(兄弟星)」「夫婦(みょーと)星」「ごろうじゅうろう」「こめつき星」「ふたつ星」とか呼ぶ地方もありました。

[かんむり座]
『かんむり座』
 「たいこ星」が一般的で
 他には車に見立てた「車星」
 籠に見立てた「籠星(かごぼし)」
 かまどに見立てて「竈星 かまどぼし」「鬼の竈」「長者の竈」「地獄の竈」「おかま星」などと呼んでいる地方もあります。
 その他変わったところでは
 「くびかざり星」「からかさ星」「おどりこ星」「にじ星」「いどばた星」「ゆびわ星」「はんかけ星」「きんきゃく星」「どひょう星」「ひずめの星」「くど星」「こうじん星」「へっつい星」など由来不明なものも・・・

[こと座]
『こと座 ベガ』
 昔から「タナバタ」と各地で呼ばれていました。
 「織姫」「棚機」「織り子星」「織女(たなばたつめ)」
『こと座のεζ』ヴェガと正三角形を作っている五等星二つ
 「七夕の子 たなばたのこ」
『こと座のβγδζ』
 四星が平行四角形なところから
 「瓜畑 うりばたけ」「瓜きりまな板」
 熊本地方では「タナバタの麻小笥(オコゲ)」と呼んでいるようです。
 オコゲとは麻を紡いで入れる桶での事だそうです。

[わし座]
『アルタイル』
 昔から「ひこぼし」と呼ばれ枕草子にも載っている古い名前です
 「いぬかい星」「うしかい星」「うしひき星」「いなみ星」なども有名
『鷲座αβγ』
 「河鼓三星 かこさんせい」「天鼓」
 沖縄では「継嗣星(ままくわぶし)」
 アイヌでは「ウナルベクサ・ノチウ(老婆の川渡り星)」
 などとも呼ばれているようです。
『わし座アルタイルの北東にある暗黒星雲』
 「鷲の黒い穴 わしのくろいあな」
     これはかなり新しいものでしょうね・・・

[はくちょう座]
『はくちょう座』
 「北十字」「十文字星 じゅうもんじぼし」が一般的です。
『デネブ』
 「古七夕 ふるたなばた」

[イルカ座]
『イルカ座のαβγδ』
 「菱星 ひしぼし」

[アンドロメダ座]
『アンドロメダ座のαβγδ』
 「斗掻き星 とかきほし」

[カシオペア座]
『カシオペア座』
 Wを逆さに見た
 「やまがた星」「錨星 いかりぼし」が一般的でその他は5つつの星の集まりから
 「ごようの星」「ごよせ星」「いつつ星」「かどちがい星」など

[オリオン座]
『オリオン座』
 「鼓星 つづみぼし」「よつ星」「くびれ星」「そで星」
『オリオン座ベテルギウス・リゲル』
 二つの1等星「ベテルギウス」「リゲル」の二つの星はミツボシを挟んで対抗しているように見えるので、武士の棟梁争いの源氏と平氏に見立て赤い「ベテルギウス」を赤旗の「平家星」、白い「リゲル」を白旗の「源氏星」と呼ばれていました。
 2つあわせたものの呼び方としては
 「わき星」「かなつきのあいて星」「むづらばさみ」「かなつきのりょうわきだて」
『オリオン座のδεζ』
 オリオンのベルトに当たる「みつ星」
 「さんこう」「さんちょうの星」「さんじょうさま」「さんだいしょう」「しゃくご星」「おやにない星」「おやこうこう星」「かせ星」「たけのふし」「はざのま」「たがいな星」「どようさぶろう」「からすき」「ごうます」「みずくみ星」「さんたろう星」
 すごい数あるんですね・・・
『オリオン座のθιη』オリオンの剣に当たる「こみつ星」
 「いんきょ星」「こさんじょう」「とも星」「まね星」「よこみつ星」「ぼんてん星」
『オリオン座のδεζθιη』(みつ星とこみつ星をあわせて)
 「柄鋤星 からすきぼし」「さかます星」「よこぜき」「すごろく星」「むづら」「がんだれ星」「まぐわ星」「くまんで星」「ごうます」「こながら星」「あぶらごう」
 
 オリオン座の呼び名の多さは重要な星座であることを示しているのでしょうね

[おおいぬ座]
『おおいぬ座の尾』
 「さんかく星」「くらかけ星」「みぼし」「うろこの星」「くらのむね」「くらはし」「なっとうばこ」「あぶらげ星」
『シリウス』
 「天狼 てんろう」「青星 あおぼし」 「おお星」「あと星」「かぜ星」「いかびき星」「えのぐ星」「ゆき星」
 やはり青いイメージの名前が多いようです。

[こいぬ座]
『プロキオン』
 「色白 いろしろ」「ちいさいおおぼし」

[りゅうこつ座]
『カノープス』
 「南極老人星」が有名
 讃岐では「横着星 おうちゃくぼし」
 茨城県では「(かずさの)おしょう星」
 千葉県館山では「入定星」
 千葉県勝浦と伊豆の伊東では「布良星 めらぼし」
 淡路では「なると星」「あわじ星」
 その他は「ろくぶの星」「だいなん星」「みなみのひとつ星」「ざぶざぶ星」「あきら星」「ひがん星」「げんごろう星」「なんきょくじゅせい」などと呼ばれています。
 
 関東では南の地平線にわずかに上る程度なのでシリウス(-1.48等星)に次ぐ輝星とは思えないほど暗く見えます。(カノープスは-0.72等星)

[いて座]
『いて座』
 「みぼし」「ふじみぼし」「たかみぼし」「みなみのこかじ」「みなみのかじぼし」

[ギョシャ座]
『ギョシャ座』
 星が五角形に並んでいるので日本各地で「ごかく星」「いつつ星」と呼ばれています。
『カペラ』
 五色に輝くことから「五色星」日本海側の一部の地方にでは現在でも「五色のカペラ」とも言われています。
 その他は「かんびん星」「能登星」「佐渡星」「やざき星」「すまるのえーて星」「きたすまい」「ぜに星」「さき星」など

まだまだあるようですが、有名なところを紹介しました。

また 無数の輝く星を「煌星 きらぼし」と呼んだり、 細かく散らばっているたくさんの星を「糠星 ぬかぼし」と呼んだり更には 吐く息さえも凍ってしまうような気温(-50℃)のときの微かな音のことを「星の囁き ほしのささやき」と表現したり、日本語には星にまつわる言葉もたくさんあります。

また何かの機会に紹介いたしましょう。

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それいゆ 1 -はじめまして-

その店は およそ繁華街と呼ばれる場所からは程遠い閑静な住宅地へと続く幹線道路からやや外れた場所にひっそりと看板を出していた。
80年代も後半になろうというのに今だに「トリスバ-」の看板を掲げ、その下に遠慮がちに「それいゆ」と書かれている。
初めてそこを訪れたのは当時勤めていた事務所の社長が、「君は酒飲みというより酒そのものが好きなようだから私の秘蔵のバーを紹介してやろう。」と、いたずら半分で連れてこられたのがきっかけだった。
いたずら半分・・・というのは社長がその店に入る前に言った言葉から推測された。
「あっ・・ そうだここのバーテンは偏屈な人だからね嫌われたら二度と入れてもらえないから気をつけてね」 と社長は意味ありげに含み笑いをした。
うまい酒が飲めそうだと言う期待が心をときめかせていたせいかその時には何の疑問もいだかずににこにことしながらその扉をくぐったのを覚えている。
中に入ると やや狭めのカウンター越しに初老のバーテンダーがグラスを拭きながら「いらっしゃいませ」と会釈した。
私はしばしの間カウンターの後ろに有る圧倒されるようなボトルの群れを眺めながら立ち尽くしていた。
社長はこの店ではワイン目当てらしく、入ると同時にボトルを並べてもらっていた。
極自然な2人の振る舞いはきっとこの店ではいつもそうやって社長の趣味を満たしているであろう事がわかる。
そして何やらこの店のマスターであるバーテンダーとこそこそと話をしていたようだが、一段落つくとこちらを向いて
「君も座って好きな物を呑みなさい。」と得意そうに手招きをした。
私は 初めてその店のカウンターに腰掛けぐるりと見回しながら、「ジンはいいの有りますか?」と訊ねた。
「どれもよく冷えてますよ。」マスターはにっこりとしながら答えた。
そこで「それじゃマティーニを・・」とたのむとマスターが「ドライですか?」と拭いているグラス越しに目を細くした。
そこでマスターの目を見ながら「それじゃ最高にドライなやつ」と言うとマスターは何故か楽しそうにいそいそと冷凍庫に足を運び、中から霜の張り付いた青い瓶を取り出した。
ポンペイサファイアと言ううまいジンだ。
思わずにこりとしてしまったのを彼は見逃さなかったらしく、「御存じのようですね」と言いながらカクテルグラスを私の前に置きオリーブを入れジンをなみなみと注いだ。(これではジンのストレートなのだが・・・)
私はちょっと小首を傾げてマスターを見ると後ろを向いて棚の整理をしている。(というか様子をうかがっている風だ)
こりゃ担がれたな・・・てなわけですかさず
「すみません フランスはどちらの方角ですか?」と聴いて見た。
マスターはにっこりと笑いながら振り向き、「あちらになります」と左手を差し出した。
私はその方向に胸に手をあてて一礼してジンを飲み干した。
「こんなにうまいマティーニは初めてですよ」と笑うと彼は
「当店で一番ドライなマティーニですよ。お出しするのはお客様が始めてですけど・・・」と笑った。
「ところで・・・ほんとにフランスはあちらですか?」と聞くと
「ええ 間違い有りません。 一度やって見たかったので昔調べておきました。」・・・と微笑んだ。
「おや 無愛想かと思ったらそんないい笑顔もできるんですねぇ」と社長が驚いた顔をする。
「勘弁してくださいよ社長。今日はとてもいい夜ですからね、お客様にも無粋なまねして失礼いたしましたので・・・」そう言いながらリキュールグラスにアロマティックビターをくるりと回してなじませ シンクにさっと一降りしてパールオニオンを転がし私の前に置いてビフィータのドライジンを並々と注ぎその表面にナツメグを一振りした。
「お近づきの印です。いつでもお待ちしてますよ。」
マスターはそう言うとカウンターの端に行き おそらくは1度も使われていないだろうと思われるカラオケセットの横に有る重たそうなターンテーブルに一枚のレコードを置いて針を落した。
静かだった店の中にデイブ・ブルーベックの「テイクファイブ」が心地好く流れ始めた。

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夢の工場

もう20年以上前のこと
ほとんど気の合う常連だけがお客の静かな店がありました。
そのお店へのオマージュを一篇


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ふと むかしむかしのおみせを思い出しました。

そのお店の名前は「夢の工場」
装具は全部真っ黒で高い天井から吊られた電灯が唯一の店の灯かり
その下に大きなテーブルが一つ。
その回りに背のたかい椅子が囲み、いつものお客を待っている。
小さなロフトには誰が弾くでもないピアノが一つ。

いつものお客・・・それはその店と同じ名前の劇団員がほとんどで、
夕方になるとぽつりぽつりと決まった席が埋まってゆく。
みんな ママの得意なキッシュの虜。
そして あたたかいスパイスコーヒー。

席が埋まるとママは一番端の席にこしかけ、
微笑みながら他愛のない話にあいづちを打つ。

そういえば この店にも特別なデザートが一つ。
その名も「ファイアーマンのお誕生日」
お客さんのバースデイ専用の特別なスィーツ

もちろんメニューにものってないけれど、
ママは みんなの誕生日をちゃんと覚えていて、
夜の8時にそっと運んで来てくれる。

真っ赤なラズベリーソースが象徴的だけど
一度として同じ物はなかったな・・・

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たまゆら

春の宵にちなんで、昔作った恋歌などひとつ


たまゆら

金糸銀糸の織り成す錦
舞うは桜の白拍子
十六夜の月蒼く
遠く響くは琴線の音
ゆらゆらたまゆら耳すまし
春香にゆだねる目蓋の重み
纏える風に想いをたくし
さぞや恋し さも恋し

返歌

宵の闇とて舞う花の
雪の如くは月明かり
十と三つの縦糸に
叶わぬ術に爪を立て
揺れる想いに紅をさす

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「帰郷」

ずいぶん昔の記憶の中にある1シーン。
10年ほど前に書いたお気に入りのショートストーリーです。



   「帰郷」

 森を抜け、その寂れた小さな町を通りかかった時・・ふと思った。
それは 何がきっかけというではなく、見上げた時に路地のすき間から映った
空の青さのせいか、その空に一筋引かれた飛行機雲のまぶしさなのか
それとも くすんだ木の壁に響く子供達の走り去る足音か・・・
いずれにせよ私の視界は夕刻の残照の中で色を失い、総てが時間の中を退行し始めた。

「帰郷(かえ)って見るか・・」
そう意識したのは、その小さな北の町で夕食を取り とっぷりと暮れた空の下を
国道まで走った後だった。
しかし そのハンドルは遥か西の まだ標識にも出てくるはずの無い街を目指していた。
何時間走り続けたのかは憶えていないが2度目の夕日が眩しい。
太陽は道が吸い込まれる山の中へと重さに耐えかねたように潰れながら飲み込まれていく。
その逆光の中にやっと見慣れた街の名前が通り過ぎていった。
「あと・・・500km」
それまで意識していなかったエンジンの鼓動が胸の下で高鳴り始めた。
それを制する様にその辺りではほとんど無いシグナルが赤へと色を変える。
「ふふ・・」無意識に笑って かなり手前でエンジンを止め 道端にバイクを寄せる。
日の落ちた残照の中を畑仕事を終えた老夫婦が牛を牽きながら横切っていく。
おやじはよそ者を怪訝そうに見送ったが おかみが人懐っこい笑顔で話しかけて来た
「どちらまでいかれますの?」
「九州・・まで」思わず なんとも懐かしい笑顔に会釈する。
「はぁ・・そりゃまだ長いわなぁ」
「あとひといきですよ」
「どちらから来なさった?」
「青森・・あたりだったかな」
「そりゃ大変だったわなぁ」
「ちょっと 帰って見ようかな・・って」
「郷ですか?」
「ええ・・・」
「そりゃあええ 気いつけていきなされや
 わちらの息子もとんと帰って来よらんでなぁ」
「あはは どうも・・・おばさんも気いつけてな」
「そいじゃ・・・」
老夫婦はそう言うと軽く会釈をして夕闇の中に牛をひきながら見えなくなっていった。
「さて!」
おもむろに少し冷えたエンジンに火を入れる。
ややもたつきながら やがて心音を安定し始めた。
もどかしげに腰を上げ 一気にクラッチをつなぐ。
今まで眠っていたマシンはいきなり咆哮を上げ そしてまだ浅い闇へと溶けていく。

やがて夜が白み始めるころ 辺りを包む朝靄に乗って懐かしい海の香りが漂い始める。
眠たい目に少しだけ笑いが浮かぶ。
「このトンネルを越えれば・・・」
ためらいも無く長い闇の中へと潜り込んでいく。
しかし 闇を抜けた瞬間から言葉にはならない、なんというか ごく些細な
空気のずれのような違和感が頭の中をかすめる。
「こんな・・だったかな?」
いくつか通り過ぎる見た事も無い建物と道路がその違和感の元だろう。
その感覚も 目に映る見覚えのある景色がかき消していく。
そして街を外れ やがてやや寂れたその町へと向きを変える。
「そうそう これだ」
自分の中でなにやら訳のわからない納得を繰り替えしながら
やがて 川のほとりにある小さな屋根が目に入って来た。
迎えてくれたのは 自分の予想よりも遥かに年をとったおやじだ
「帰って来たか・・・」
さり気なく不器用な笑顔は 時の隔たりを一気に叩き壊した。
その瞬間から 自分の中で止まって・・いや 止めていた故郷の時間が
ゆっくりと動き始めた。
中に入るとおふくろの笑う顔、昔と何が変わるわけでも無い
ただ 流れ始めた時がその歳月の深さを告げるだけだ。
その夜 酒を飲みながら過ぎて来た歳月の長さを確認する。
それはあたかも旅に出た訳と今ここにいる理由を確認するように
そして その想いを一気にグラスから体内へと流し込んだ。

次の朝 久々の暖かい床の中から気だるい身体を引きずり出し
ごくあたりまえのようにバイクのキーを握り締め ブーツに足を通す。
「なんだ もう行くのか?」
後ろからおやじがぶっきらぼうに聞く
「ああ また来る」
振り向くと おふくろが心配を噛み殺した笑顔で笑う。
「気をつけて・・・たまには連絡しなさい」
「ああ・・・」
そう告げてエンジンに火を入れる。
川にかかる小さな橋を渡り 少し坂を上ったところで一旦振り替える。
朝日が川面に反射し 眩む視界に眩暈を覚え、大きく瞬きをした。
その刹那、若き日のおふくろに追い立てられて学校に走っていく自分が
その視界の中を横切った。
思いっきり空を仰ぎ眩暈が落ち着くのを待って一気にクラッチをつなぐ。
一瞬だけの幻惑・・・
しかし 考えて見るとおかしな物だ・・・
この家から学校に通った事など無いはずなのだ。
生れてから何度も引っ越しを繰り替えした自分にとって
はたして故郷というものが何なのか?
それはどこに存在し、どれだけの意味を持っているのだろう
いつのまにか時間を止めてしまった自分の記憶だけがそれなのだろう
そして おやじやおふくろもこうして再会するまではその時を止めて
思い出という名の故郷をそこに共有しているのだろう。
再開する事で流れ始めた時間は一気に記憶を駆け上り 日常へとたどり着く
そうしてまた旅立つ事でその時間を止めるのだ。
今日という思い出をまた故郷という記憶に置き換えながら。
高鳴る鼓動はいつのまにか新しい道への期待へと変わっていた。

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[ジョーク] 最高の・・・

最高の生活――アメリカ人と同じ給料をもらい、イギリスの家にすみ、日本人の妻を持ち、中国人のコックを雇う。

最悪の生活――中国人と同じ給料をもらい、日本の家にすみ、アメリカ人の妻を持ち、イギリス人のコックを雇う。

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う~む・・・
これも民族に対する考え方なのか(^^;)
なんとなく分かる気がする所が恐い(笑)

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「遊撃とその誇り」

「きみは飛びたいと思うか?」
とある日、アメリカから亡命してきた演劇青年が私に聞いたことがある。
「もちろん」
と私は答えた。
「では、きみは鳥に変身したいと思うだろうね」
と彼は言った。 ノオーと私は答えた。
「私は鳥になんかなりたくない。私は私自身のままで飛びたいのです」
オゥ! とアメリカ人は肩をすくめた。「きみは飛行機の話をしていたのか。
私は哲学の話をしていたのに!」
---だが、私は飛行機の話をしていたのではなかった。「背広を着たまま飛びたい」と言うのは、私自身のの哲学だったのである。

                  寺山修司  「遊撃とその誇り」

私の好きな寺山修司氏の自身の哲学が見える一節です。

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「Anyones Daughter」

たてまえなんか 地獄に落ちてから通せばいい

               みやすのんき 「Anyones Daughter」

リフレッシュと言う作品集仁納められた作品ですが、
彼の作品の中でも一番お気に入りの一つです。

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キャラクター設定 -歴史(おいたち)しぐさ ポーズ-

それでは キャラクター作成パート2と言うことで、残りの部分 歴史(おいたち)しぐさ ポーズを解説します。

2.歴史(おいたち)
これは、育った環境と共にドラマティックな経験や恐怖体験などを特に重点的に設定します。
これを設定する事で、物事に対する判断の基準やトラウマ、癖やしぐさや自己表現などもそこからにじみ出て来ます。
より深い性格設定の基礎となるもので、この設定がしっかりしているとあやふやな判断や危機一髪のシーンでの行動や判断の間違いが少なくなります。
つまり「このキャラはこういう時こんなことしないよ」って言われるような行動を自然と取らなくなります。
これが結構ストーリーを作る時に大切なことでぼやけた設定をしていると作者の判断基準だけでストーリーが進んでしまう事になり奥行きが無くなってしまいます。
作者がこれが正しいと感じる事でも、その行動がストーリーの中でのそのキャラクターらしい行動とはかけ離れてしまうことはよく有ります。
それでは、実際の例で私のHPで公開しているデジタルフェアリーの中から「ネイモア」と言うキャラクターの生い立ちの設定は以下の通りです。

ボストンのスラム街にて出生
母親は天才ピアニストと称されたがネイモアが4才の時に交通事故にて死亡。
父親は不明。母親のマネージャーであったとかレコード会社のプロデューサーであったとか言われるが真実は分からない。
「不幸の天才」と呼ばれた母親はデビュー後もあまり売れることは無く酒場でピアノを弾き生計をたてていた。
風体はか細く、ストレートのプラチナブロンドは彼自身も受け継いでいる。
着飾ることは無いが、いつも赤いハイヒールを履いていた事も有りネイの中では「女性=赤いハイヒール」と言う暗黙の図式があるのかもしれない。
母の死後は身寄りも無く公立の施設に引き取られるが半年で脱走。
その後マッドサイエンティストと呼ばれるDr.サイマルに育てられる。
ネイモアがDr.サイマルに「オセロ」で賭けをして勝ったことで研究室兼自宅に転がりこんだのが原因である。
Dr.サイマルに基本的な電子工学、機械工学、生体工学を学び、元々の利発な頭脳もあって12才でその全ての博士号を修得。
15才の時に体質の適合もあって肘にデジタルリンク手術を受ける。
16才の時にDr.サイマルは実験中の事故で死亡。
以後は自己の理論を追求し、生体工学のタブーに迫る研究を始める。
このタブーとは自分の思い通りの生命を作り出すということである。

これでも大雑派な設定ですが、この生い立ちからちょっとひねくれたあの性格設定が出来あがっているのです。

3.しぐさ ポーズ

さて最後に特徴的な見てくれの部分です。
ビジュアルが有るにせよ文章だけにせよ、必ずちょっとしたポーズやしぐさの表現が出て来ますが、これが割とそのキャラクターの特徴を醸し出しています。
また そのための小道具と言うのが活躍します。
例えば、同じデジタルフェアリーに登場する「ギルモア」と言う刑事役のキャラがいますが、その小道具として「安物の葉巻」と言う物を用意しています。

ストーリーの中での表現を上げると

名前はギルモア、小汚ねぇトレンチコートに安物の葉巻を咥えてなんともいけすかねぇ奴だ。
ギルモアは吸いかけの葉巻を灰皿に突き刺して3番街に有るジェイクの店に向かった。
ギルモアはテーブルの端でマッチに火を付けゆっくりと葉巻に近づけた。
ギルモアは不機嫌に葉巻に火をつける。
ギルモアは上目使いで葉巻をもみ消しながら言った。

と言った感じで使っています。
このちょっとしたしぐさの表現がその場の雰囲気とキャラクターの性格やその時の心理をうまく表現できます。
また、これは口癖と同じようにそのキャラクター独自のもので、他のキャラには絶対にとらせないように心掛けています。

映像が有る場合は立っている時の手の位置や目線の配り方、そして手振りの癖や顔の傾げ方に至るまで細かいポーズ設定をしておくとそのキャラクターの特徴をより明確にする事が出来ます。

・・・と、ここまでに挙げた事が私がキャラクターを作る際に特に気を配っている事です。
細かい事を挙げればキリが無いですが、それは今後の機会にいろいろとお話しするとして、キャラクター設定に関しては(世界設定は除くとして)このくらいは最低限設定しておくと良いのではないでしょうか。

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キャラクター設定1 -言葉使い-

さて少し時間があいてしまいましたが、キャラクター作成について解説します。
キャラクターを設定する時は先ず以下の項目を埋めていきます。

名前    性別     年齢(生年月日)
出身    職業     血液型
家族構成
性格
身体的特徴

通常はメモ書きのように書き留める程度ですが多人数での作業が有る場合など
必要に応じてはキャラクターシートを作製します。
そしてこれも必要に応じてですが、だいたいのビジュアルイメージを作成します。
ここまでは普通のキャラクターメイクの要領ですがここからが実際に肝腎な部分になります。
では私がこの後に設定する物を大きく分けて列記して見ます。

1.言葉使い
2.歴史(おいたち)
3.しぐさ ポーズ

たったの3つですが、中身は非常に濃い物です。
では順を追って項目を解説していきましょう。

1.言葉使い
これは細かく分けると以下のようになります。

○語尾表現
 これは、出身地や性格、性別などから考えていく事になります。
 標準語で ~だ。 ~です。 ~ます。などに関する物を設定します。
 男性だと ~だぜ。 ~だよ。 ~さ。
 女性だと ~よ。 ~だわ。 ~ですわ。
 などがあげられますが、これでははっきりとしたキャラクター性が出て来ません。
 そこで出てくるのが方言です。
 ~げな。 ~ずら。 ~ちゃ。 ~だべ。 ~やで。 ~どすえ。
 ~なも。 ~なや。 ~だぎゃ。 ~だも。 ~だわさ。 ~ぜよ。
 上げていくとキリが無いですが、全国津々浦々網羅すればいくらでも出てくるでしょう。
 また語尾だけでは無く同じ場所の方言にも柔らかい言い方、強い言い方、
 女性、男性と表現が変わってくる物です。
 例えば「だめです」を関西弁で表現するとどうでしょう?
 「あかん」「あかんわ」「あかんで~」「あきまへんな」「あきまへんで」「あかんやろ」
 とまぁこんな感じです。
 これよってこのキャラクターの基本的な喋り方、語調を設定します。

○人称表現
 「わたし」「あなた」「彼(彼女)」の表現です。
 3人称は特に設定する必要は無いかと思いますが1人称と2人称は決めておきます。
 これはまずひたすら列挙してみましょう。
 1人称
  わたくし、私、あたし、あたい、わし、ぼく、僕、我、自分、あちき、拙者、みども、
  吾輩、わい、わて、あて、ちん、うち、あ、わ、手前、おいどん

 2人称
  あなた、あんた、君、きみ、貴方、貴様、貴殿、御主、おんし、そこもと、そち、けい、
  そなた、おまえ、な、おんどれ、おのれ、てめぇ

 等が上げられます。また2人称に1人称を充てる場合も有りますね 例えば「自分」とか「我」とか
 更に文字にした場合はひらがな、カタカナ、漢字と使い分ける事で更に雰囲気が変わって来ます。
 キャラクターによってそれをうまく使い分ける事で更にキャラクター性を強める事が出来ます。

○語調と口癖
 語尾表現と人称表現でだいたいの語調が決まって来ますので、特徴的な台詞をメモしておきます。
 特に、このキャラクターが普段何気なく使っている「口癖」を設定しておく事で
 似たようなキャラクターを登場させる場合にもかぶらなくて済みます。
 そしてココが一番大事なところですが、ここで設定した台詞はこのキャラクター
 のみのものであると言う事を常に心掛けてストーリーを作ると言うことです。
 つまり言えば、ここで設定された言葉は他のキャラがこのキャラをまねする時以外は
 他のキャラクターは絶対に使わせないと言うことを意識することです。

このように先ずは言葉使いを綿密に設定します。
また、語調で解説したように、特徴的な喋り方と言う物を明確にして、その規則を通す事で
ストーリーの中でのキャラクターの個性がしっかりと見せられるようになります。
では今回は「言葉使い」の設定までにして次回に「歴史(おいたち)」と「しぐさ ポース」
の解説をすることにしましょう。

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世界創造2 -文明と文化-

前回ではステージそのものを作り上げる手順でしたが、今回はそのステージの味付けや色付けを考えていきます。

ここでまず考えることは、この世界の「文明」「文化」です。
よくシナリオの授業で、生徒たち問いかけるのですが、この「文明」と「文化」の違いはなんでしょう?

端的に言えば「文明」は技術レベル、「文化」は生活形態と考えるのが一番分かりやすいかと思います。
では 「文明」の考え方から行きましょう。
技術レベルの発展形態を設定すると言う作業は工業、鉱業、科学レベルを設定する作業になります。
私が先ず考えるのは3大発明が備わっているかどうかと言う事です。
「印刷」、「火薬」、「羅針盤」ですね、印刷は情報の保存と配信、伝達を大量にできるようになり、情報や技術の共有が出来るようになります。
火薬は戦争形態にも影響しますが 何よりも大量掘削技術の取得と言うことで、燃料や金属が大量に確保できる技術が有るかどうかが決まります。
羅針盤は大航海時代の幕開けとなった重要なアイテムです。今までの天測と合わせるとこでより長距離の航海を正確にこなすことができるようになります。
そう考えるとこの発明を境に大きく文明レベルが変わるとこを意味します。
次に考えるのが移動手段です。
原始的な移動手段は徒歩ですが、そのレベルのストーリーはあまり手掛けたことがないですねぇ。
私が重要に考えているのは「エンジン」が発明されているかどうかと言う部分です。
これによって大幅に移動手段が変わります。
それ以前は馬やらくだや象と言った動物などを使った陸路、風を使う帆船やガレー船などの手漕ぎなどの海路の航続距離を飛躍的にアップする事が出来ます。
また、エンジンの構造が小型化されているかどうかで軽輸送手段や高速輸送手段の確保にも繋がり効率が良い物が出来ていれば航空機にも応用できます。
この技術は爆発を伴う動力ですので、この発展は同時に武器の発展にも関って来ます。
加えて、更に電気や通信技術レベルの設定を行います。

「文化」はこの「文明」レベルを加味した上で設定していきます。
初期段階に考えるのは宗教感というか信仰感というか、そのエリアや国でのものの考え方のベースです。
自然崇拝なのか教義を持つ宗教なのか、教義のベースは何か、生誕に関する考え方と死に対する考え方、そして死後の世界に関する考え方などです。
それをベースにして、集団的宗教なのか個別的信仰なのか、そして根底に有る倫理観は何かと言うことを設定します。
この考え方に関して割と極端に設定します。その方がエリア毎の色分けをしやすいからなのです。
そしてストーリーの中では割と欠かせないトラブルの種を作りやすいし、もっと大きく戦争の火種の設定にも使えます。
そのエリアの住人達が統べてそう言う極端な考え方をする訳では有りませんが、極端に設定する事でそのベースに有る考え方に対する原理主義と言う物を作りやすいからです。
もちろん1から文化を設定する事も有りますが、あまり特殊な環境にするとストーリーの中でそれを解説する事に疲れてしまいますので、できるだけ共通認識が作りやすい現在ある世界の一部に準えた環境にする事が多いですね。
言語に関しては、エリア別に日本語の方言を割り振る事が多いですね。
お約束ですが商業都市では関西弁を使うとか 田園地には東北弁をあてるとかでする
そうすることで、なんとなく親しみが持てる世界が出来あがって来ますし、初めて見る世界も以前から知っている世界のように感じてもらう事が出来ます。
そこまで設定したらこの世界の歴史が朧げに見えて来ますので、それを肉付けしてこの歴史を具体化しておきます。
いつ誰が何を発明したとか発見したとか、何処と何処がどういう対立や原因で戦争をしてその結果どうなったかと言うことを簡単な年表にしておきます。
この歴史というか時間の流れの設定が割と重要な作業で、これを出来るだけ矛盾無く作る事で世界自体に動きが出来ます。
そうすることで、主人公も脇役も登場しないキャラクターもその世界で生きている全てがなんらかの関りを持ちながらその世界での存在感を醸し出す事が出来ます。
ここまでくればそれこそ世界が勝手に回り始めます。

いよいよそこにキャラクターをのっけていきます。

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世界創造1 -地図の作成-

キャラクターの設定、存在の解説をとリクエストいただきましたので、何回かに渡って私のキャラクターの作り方から存在感の持たせ方を書く事にしましょう。

私の場合、キャラクターと世界が非常に密接に関連していますので、先ずは私なりの世界創造を解説します。

世界を作る時最初に行うことは、先ず地図作りです。
ストーリーの展開する範囲によって当然ながらエリアやディテールが異なりますが、ファンタジー物などの世界を冒険するような物を書く場合は世界地図を用意しますし、一つの街もしくはその近辺のエリアで描く場合は 道やブロックまで含んだ詳しいタウンマップを作成します。
もちろん広いエリアで展開する物であっても世界地図だけでなく必要に応じて、タウンマップを作成します。

では 世界地図から解説しましょう。
(もちろんこれは特にしっかりとした大きなストーリーを書く時にしかやりませんが・・・)
実際の「地球」の中で展開する場合は、普通に実際に有る地図を見ながらストーリーを作りますが、自分が造り出した世界の場合は最初に大陸の位置と形をメルカトル図法で書いていきます。
海と大陸のバランスを取り、赤道位置に赤い線を入れ、次にこの世界での回帰線を南北に設定します。
一つの惑星として捉えだいたいの自転軸の傾きを設定します。極端な場合は傾き0゜なんてこともやった事が有りますが、この場合この星にはほとんど季節が無い事になりますね。
普通は15゜~25゜くらい傾けてあげる事でこの星に季節感を設定する事が出来ます。
次に書き込むのが山脈、山地と大河、そして平原の設定です。
大陸の移動経路を少し頭に描きながら、ぶつかり合いそうな部分には高い山脈を設定したりすることでよりリアルな地形が出来あがって来ます。
そこまで出来あがるととってもそれっぽい地図が出来あがって来ます。
この辺で適当に湖とか砂漠とかの位置を考えるのが普通なのでしょうが、私はこの辺がちょっとフェチ(笑)な部分で、ここで何を考えるかと言うと、大きな海流の方向と この世界に月(衛星)があるかどうか、そして衛星による潮汐がどのくらい有るかを設定し、これにジェットストリームのラインを加えてこの世界の気候がどういう物かを考えて、砂漠や森林地帯を設定します。
温帯、熱帯、亜熱帯、寒冷地、永久凍土などの位置関係が段々浮かび上がって来ますね。
ここまで来るともう地図というよりは地勢図ですね(^^;)
そうすると自然に人が大量に生息できそうな場所、つまり都市圏の位置が見えて来ます。特に大河の河口付近です。
この時に同時に必要に応じて国境なども設定します。
主要都市や国境が設定された所で、「道」を考えます。つまり都市を結ぶ交易路(シルクロードみたいなもの)ですね。
これは 陸路だけではなく海路や必要によっては空路も設定します。
この交易路が書き上がると、今度はそこに必要な街と言う物が見えて来ます。
この世界での移動手段と食料や燃料など移動必需品の積載量を加味した航続距離から補給に必要な街、そして道の大きな分岐点に当たるポイントに存在する街、そして国境に当たる部分の関所を兼ねた街などです。
もちろんこの世界地図の全てが舞台になる訳では有りませんが、ここまで作る事でストーリーがどんな展開をしても飲み込めるだけのステージが出来あがるので、安心してストーリーを作る事が出来ます。
ここまで出来あがったらおもむろにどの街が最初のステージになるかを決め、そのタウンマップを作成します。

タウンマップの作成。
ちょっとした作品を書く場合でも タウンマップは必ず作成します。
こちらはそんなに大規模な物でありません。移動するための道路と主要な建造物、そしてランドマークとなる物を設定します。
そこに 主人公の拠点となる物(自宅とかオフィスとか)、それに関連する物(知人宅やイベントとして必要な物)を配置していきます。
これもある程度余裕をもって街に有りそうな物を出来る限り詳しく設定しておくと後々便利です(^^)
少し広めの、例えば××市や××区程度のエリアを設定する場合は町名や番地等を付けておくとよりリアルな位置関係の表現が出来ます。
ちなみに Fritha's Fantasia に掲載している「デジタルフェアリー」の舞台はロサンジェルス市周辺をベースにした未来都市ですし、「Finnの真珠」はかなり詳しい世界地図を作成しています。

とまぁ こんな感じで、先ず舞台となるステージの地図を作ってキャラクターの立ち回り方を考えています。

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テキストの第一印象

ひさびさに表現に関して筆を取って見ましょう。
今日は 文章そのものと言うよりももっと根本的な物について触れて見ます。

それは 「テキストの第一印象」 と言う物です。

人は誰でも自分以外の人と出会った時に第一印象というのを抱きます。

 「やさしそうな人」 「気無づかしそう」 「固そうな人」
 「なんかバカっぽい?」 「誠実そうな人」 「なんか信用できなそう」
 「頼れそう」 etc.  etc.

もちろん実際はその人とコミュニケーションをとって
初めて分かる物ですが、見た目でなんとなく
親しく話せたり無口になったり、好きになったり、嫌いになったり・・・
そう言う事って有りませんか?
その一因は当然見た目と言うことなのですが、
これは単にブスとか美人、醜男、イケメンと言った要素だけでは有りませんね。
その人の立ち方、座り方、しぐさや態度など
いろんなビジュアル要素で判断していると思います。
もっと詳しく解説すると、椅子に深く腰掛けている人はなんとなく落ち着いてみえる物ですし、
その腰掛け方や姿勢で 自信家であるとか 横柄であるとか、
また 手の置き様や肩の張り具合でなんとなく人となりが見える物です。

そうやって その人自身を周囲に発している何かをお互いに感じ取っていますよね。

私は文章にもその「何か」を感じます。
文体とか、内容を目にする前に なんとなく引き付けられる雰囲気と言うのを感じます。
文字の配列とか、レイアウトとか、バランスとか・・・
それだけで「読みたいな」と思ってしまったり、肌に合わないと思ってしまったりします。
その要素は、ワードの塊と固まりのリズムだったり、漢字とカナのバランスだったり、
改行を付けるタイミングだったり、もっと印象的に言うと白黒の濃い部分と薄い部分と白い部分の
絵画的というかテクスチュアーのバランスであったりします。
もちろん 横書きの場合縦書きの場合でもその印象は大きく変わって来ます。
当然ながら、その好き嫌いは人それぞれ違うと思いますが、特に私が読む気がなくなってしまうのは
改行せずにだらだらと記述されている文章ですね・・・
マニュアルや解説書や辞典ならまだしも、特にストーリーを書いている文章だと 読む前から

    「あぁぁ うざったい!」

ッてな感じになってしまいます。

先ず、ページをめくった人が読みたくなる印象というのも大切だとおもうのですがいかがでしょう?

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月の呼び名(天体)

以前月の呼び名で、暦の月を紹介しましたので、今回は天体の月の昔からの呼び名などを紹介しましょう。



(1日) 新月・朔

朔(さく、ついたち)。旧暦で新月ともいう。ちょっと変ですが「三箇月(みかづき)」とも言います。
新月のときは、太陽月地球が一直線に並ぶので、月は肉眼では見えなくなります。
朔とは月が一周して元の位置に戻った事を示します。「遡る」から来た、とも考えられます。
かつでは朔(ついたち)を過ぎてから夕方西空にはじめて見える細い月、つまり三日月を新月と呼ぶ風潮があったようです。
これは、原始の太陰暦で新月の見えた日(三日月)を持って新しい暦日の始めとしていたなごりでしょう。
ちなみに、新月は季語として旧暦八月三日をさしています。

(2日) 二日月・既朔

肉眼ではぼんやりとしか見えません。既朔ともいわれます。
季語としても使われて旧暦の八月二日の夜の月を言います。
ちなみに、江戸時代初期の吉原などの遊郭の勘定は毎月二日の支払いと決められていたそうです。

(3日) 三日月・眉月・始生魄・哉生明・朏魄・磨鑛・彎月・繊月・初月・若月・虚月・蛾眉

季語としては八月三日の夜の月のことをさしています。
「朏」とかいてみかづきとよみますが、これは姿が初めて見え出した月をあらわしています。
ちなみに「朏」の意味は「初めて帳を開いて姿を出す」と言うこと。ぴったり。
眉月・始生魄・哉生明・朏魄・磨鑛・彎月・繊月・初月・若月・虚月・蛾眉
といった異名を持っていますが、これは初めて見え始める月、ということで重要視されてたんでしょうね。
2~4日目の月にかけておもしろい現象が起こります。
月の影になった部分がうっすらと暗く浮かび上がります。
これは「地球照」と言って地球が反射した太陽の光りで月が照らされているためです。

(7日) 上弦・七日月・上弦の月・上の弓張り・玉鉤・弦月(ゆみはり)・恒月(ゆみはり)・半月・破月

季語は秋。八月七日の月の事をさしています。
天文学的には月と太陽との黄径の差が90度になるときに見えます。
下弦の月と同じ異名を持っていて、弦月(ゆみはり)・恒月(ゆみはり)・半月・破月とも言います。
ちなみに面積は同じ半分なのにか下弦の月と比較すると上弦の月の方が明るく見える、ということです。
月の地形の違いによっております。

(8日)八日月

名前通りの8日目の月です

(11日) 十日余りの月

10日+1(余り)と言う意味ですが、10日月をそう呼ぶ事も有るようです。

(13日) 十三夜月

特に旧暦の九月十三日をさしていて、この十三夜月は「のちの月」と称され、十五夜についで月が美しいとされて宮中で月見の宴が催されました。

(14日) 小望月・幾望

幾望ともいわれます。これは、望(満月)にちかい(幾)月と言う意味です。

(15日) 望月・満月・三五の夕べ

他の異名は十五夜・三五の月など。
天文学的には月と太陽の黄径の差が180度のとき。
特に旧暦八月十五日の月をさして月見の佳節として古くから月を祭る習慣がありました。

(16日) 十六夜月・既望・哉生魄・不知夜月

十六夜(いざよい)は「いさよう」「いざよう」からきたことばで、ためらうぐずぐずする、と言う意味です。
ちなみにこれ以降が「有明の月」

(17日) 立待月

夕方立ちながら待っているうちに出てくる月という意味です。


(18日) 居待月

座って待ってるうちに出てくる月、と言う意味です。昔の人はのんびりしてますね。

(19日) 寝待月

寝ながら待っているうちに出てくる月という意味。

(20日) 更待月

世もふけてからやっと出てくる月と言う意味。亥中という異名もある。

(23日) 二十三日月・下弦の月・弦月(ゆみはり)・恒月(ゆみはり)・半月・破月

真夜中に出てくる月で、左半円状に見えます。
天文学的には月と太陽の黄径の差が270度のとき。

(30日) 三十日月・晦・晦月・提月
みそかづき、と読みます。
つごもりは「月隠(つきごもり)」が変化したもので、月の光が隠れて見えなくなる頃の意味。転じて月の最後の日をさすようになりました
農村ではつごもりそば、といって月末にそばを食べるしきたりがありました。(特に12月とか)
これに対して紋日はうどんをたべてました。

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窓の向こうの世界

ある病室に2人の末期ガンの患者が入院していた。 一人は窓側のベッド、もう一人はドア側のベッド。
2人とも寝たきりの状態だったが、窓際のベッドの男は、ドア側のベッドの男に窓の外の様子を話してあげていた。
「今日は雲一つない青空だ。」「桜の花がさいたよ。」「ツバメが巣を作ったんだ。」
そんな会話のおかげで、死を間近に控えながらも2人は穏やかに過ごしていた。
ある晩、窓際のベッドの男の様態が急変した。自分でナースコールも出来ないようだ。
ドア側の男はナースコールに手を伸ばした。……が、直前になってボタンを押す手をとめた。
「もしあいつが死んだら、自分が窓からの景色を直接見れる……」
どうせお互い先のない命、少しでも安らかな時をすごしたいと思ったドア側のベッドの男は、
自分は眠っていたということにして、窓側のベッドの男を見殺しにした。
そして窓側のベッドの男は、その晩、そのまま死亡した。

翌日、ドア側のベッドの男はいよいよ窓側のベッドへ移ることになった。
男は、看護婦に抱きかかえられてカーテンのそばに横になる。
期待に胸がうちふるえた。
そこから見える外の景色、これこそ彼が求めているものだった。
そこから見えたもの、カーテンの向こうは、

ただの薄汚れたコンクリートの壁だった。

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結構有名なジョークですが、なんとも切ないジョークですね。

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ジョーク

アメリカの調査結果により、パンはとても危険な食べ物だということがわかった。
以下がその理由である。

1) 犯罪者の98%はパンを食べている
2) パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下である。
3) 暴力的犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている。
4) パンは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はパンと水を与え、後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにパンを異常にほしがる。
5) 新生児にパンを与えると、のどをつまらせて苦しがる。
6) 18世紀、どの家も各自でパンを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった。

7) パンを食べるアメリカ人のほとんどは、重大な科学的事実と無意味な統計の区別がつかない。

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言葉の意味は・・・

最近よく耳にするワードに「ベストエフォート」と言うのがあります。
スペルでは 「BEST EFFORT」 直訳すると 最大努力・・・と言った所です。

本来は委任契約等で受任者の負うべき義務を規定する場合に使われる用語で、そのような努力がなされないときは債務不履行責任を負うものの、そのような努力がなされたうえは、結果に対する責任を負わないことを定める際に用いられます。
しかし、今はネットワークの回線スピードなどでの技術用語として使用されています。
通信事業者の回線品質がベストエフォート型を標榜する場合、網の能力を超えたトラフィックが入力された場合に超過分が捨てられる仕組み(及び、そのために、個別の回線に品質保証がないこと)を意味します。

これはどう見ても本来の意味の最大努力と言う言葉の意味とは裏腹に取れます。
前述の 「そのような努力がなされたうえは、結果に対する責任を負わないことを定める」の部分を拡大解釈した捉え方ではないかと思われますが、この「努力」と言う部分、回線とその速度を満たす使用の機器を用意しメンテナンスをするだけがそれに匹敵するのでしょうか?
果たして、最初から責任を負わない事を「ベストエフォート」と称するべきなのでしょうか?
そう言った意味では最近、開発契約などでも「○×の機能はベストエフォート」などと言う表現をします。
本来の意味からすれば「○×の機能も努力して備えます」と言う意味のはずですが、実際には「○×の機能は出来れば備えます(しかしできなくても保障の限りではありません)」と言う意味で使用され、どちらかと言うと「できない」もしくは「やらない」と言うことを前提とした意味で使用される場合がほとんどです。
そして その場合に「effort」の本来の意味はほぼ無いに等しい物になっています。

こういう風に本来の意味とはかけ離れた意味で使用される言葉がたくさんあります。
特に契約条項などに列記されている場合に 既知の言葉ではない横文字などは特に直訳でしかも自分にとって有利な意味で解釈しようとします。
言葉というのは実際の意味もてすが、どういう意味で使用されているかを知ると言う事も必要ですね。

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「禁色」

崇高なものが現代では無力で、
    滑稽なものにだけ野蛮な力が有る。

           三島由紀夫 「禁色」

ちょっとびくっとするような言葉ですね。
私は三島由紀夫の小説はほんの数点しか読んだことはありませんが、このフレーズは今でも心に残っています。
彼は「現代では」と書いて有りますが、これはあらゆる時代のその時点の「現代」にあてはまるのでしょうね。

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「道徳的反省」

希望と恐れとは切り離せない。
  希望のない恐れもなければ、恐れのない希望もない。


希望はすこぶる嘘つきであるが、
  とにかく我々を楽しい小道を経て、人生の終わりまで連れていってくれる。

             ラ・ロシュフコォ伯爵 「道徳的反省」

今回は「道徳的反省」から希望に因んだ名言を2つ抜粋です。
その昔、パンドラが開け放った箱の最後に残っていた物。
人を絶望の淵から救ってくれる一筋の光。
いろいろな言われ方をしますが、果たしてこの希望と言う物が本当に人に残してくれる物はなんなのでしょうかね?
実際には行動を放棄した者には何の影響も施さないのではないでしょうか?
ただ その希望を過信すると痛い目に合うというのも厳しい現実だと思います。
希望は目指す方向の漠然とした道標くらいに考えた方が良いのでしょうね・・・

「人は誘蛾灯に群れる虫のように希望と言う暖かい光を求めて集まる」
罠を貼る時の悪魔の知恵でも有ります。
お気をつけて・・・

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「カール・マルクス」

ある状況においての幻想を捨てたいという願いは、
    幻想を必要とする状況を捨てたいという願いである。

                   カール・マルクス

まさにコンフュージョンな状態 人はそこに「こうであれば」、「こうじゃなければ」、強い肯定と強い否定をくり返しその理想形態を幻想として思い描く物です。
しかし それは存在しえる、実現しえる物では無くそれを降り払おうと抗いますが、これはこの言葉のとおりその幻想を描く根源となる困惑した状況を脱したいと言う願いです。
まぁ 振り払うまで達する人はすごいと思います。
たいていはその幻想にどっぷり浸ってしまう物ですからね・・・
しかし 妄想まで行かないうちに早く気付きましょう。

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銘のある宝石たち

忙しくて少々間が空いてしまいましたが、今日は少しゴージャスなネタを一つ。
世の中にはたくさんの宝石がありますが、その中でも名前の付いたすごい宝石というのが昔から語り継がれていたり大切に保管されていたりします。
そう言った宝石にはいろんな逸話や伝説などが付き物ですが、その中でも有名な物を幾つか紹介しましょう。

ホープ
関わった者に死と破滅をもたらしてきた青いダイヤ。
旅行家タベルニエがインド、ベーガンの寺のラマ・シータ仏像の額から盗んだものといわれ、ルイ14世がタベルニエに貴族の称号と大金を与えて掌中に収めた事で有名です。
タバルニエはその後ロシアの草原で狼に襲われ死亡。
このブルーのダイヤはルイ16世に継がれ、アントワネットの手元にいくが、王妃がギロチン台の露と消えると、不吉な呪いの石として囁かれるようになりました。
1872年誰かに盗まれて消息不明となりましたが、ロンドン市場に45.5ctのブルーダイヤとして登場し、銀行家ヘンリー・T・ホープが買取り、以後ホープと呼ばれるようになりました。
ホープ氏が死亡すると銀行は破産し、ダイヤは不幸をもたらしつつ転々とし、現在はワシントン、スミソニアン自然史博物館に展示されています。

オルロフ
193CTの鶏卵を半分にした形のダイヤモンド。
ロシアのグレゴリー・オルロフがかつての恋人、エカテリーナ2世の寵愛を再び得るために贈ったダイヤモンド。
タヴェルニエが記したグレートムガールダイヤに形が酷似しているので、オルロフとグレートムガールとは同じ物いう推測がされています。

リージェント
ルイ15世、マリー・アントワネット、そしてフランス皇帝ナポレオンが愛したダイヤモンド。
その美しさと同時に所有者に叶わぬ夢を囁く魔のダイヤとしても知られています。
1701年インド パーティアル鉱山から産出した原石410ctのダイヤで、採掘所の奴隷が自分の太股に傷をつけ隠して逃亡。
しかし男は逃亡する際に、あるイギリス船の船長にダイヤを見せて船に乗せてくれと頼んだばっかりに船から海に突き落とされて死亡、船長はマドラスのイギリス人商人に売りつけたが、殺した男の亡霊に取り付かれて死亡。
商人からマドラスの総督トーマス・ビットが10万ドルで購入し、その際にカットに出され,燦然と輝くクッション形の長さ27mm、幅25mm、深さ19mm、140.5カラット、サイズの大きいブリリアント形のダイヤモンドとなりました。
この後、ルイ15世の摂政(リージェント)だったオルレアン公がこのダイヤを50万ドルで買い、「リージェント」と呼ばれるようになり、15世の王冠につけられ、その後アントワネットのベルベット帽につけられました。
1792年盗まれましたが、シャンゼリゼ通りの隠れ家から発見されナポレオンのものになり、彼は剣の柄に埋め込みました。
現在はルーブル美術館アポロンの間に展示されています。

コ・イ・ヌール
その所有者は世界を征服し、繁栄をもたらすと言われている108.9カラットの巨大なダイヤ。
このダイヤは男嫌いとしても有名です。
これはそれを手に入れた男性の征服者は全て悲惨な最期を遂げていたが、ビクトリア女王が所有した際には大英帝国が繁栄の頂点を極めたということが起因となっています。
1849年、ラホール王国とイギリスとの戦争の戦後賠償の一部として東インド会社に取得され、1850年、東インド会社の創立250周年記念レセプションの席上、イギリスのビクトリア女王に献上されました。
噂と違って対して光らないという評判に女王は再カットを決意し、186カラットの石は今日伝わる108.9カラット、楕円形(オーバール)ブリリアント・カットとして生まれ変わりました。
女王はこれをブローチにセットして愛用し、18歳で即位、大英帝国の女王として64年間世界に君臨しました。
現在、エリザベス女王所有でロンドン塔に保管されています。

サンシー・ダイヤ
「所有する者は、必ず赤き血にまみれる」と恐れられる、桃の形にカットされた55CTのペアシェイプドダイヤモンド。
1470年頃「チャールズ勇敢王」が所有していたていたと言われています。
1570年にサンシー卿がトルコのフランス大使から購入し、これがダイヤの名の由来となっています。
エリザベス女王やルイ16世など、世界の名だたる王家の間を渡り歩いたダイヤですが、これを所有した者やその親族が殺されるという事件が相次いで起こりました。
1906年からロンドンのアスター家が所有している。

ユーレカ(Eureka)
アフリカ大陸で発見された最初のダイヤモンドでユーレカ(我、発見せり、というギリシャ語)という名前が付けられました。
原石(21CT)は欧州でカットされて(10.73CT)に、その後この石は南アフリカに戻されてキンバリーの金鉱博物館に展示中。

ティファニー
128.51CT、1878年に南アフリカのキンバリー鉱山で発見され、ニューヨークの宝石商ティファニーが購入し、パリで90ファセットにカットされた。現在はサウジアラビアあたりにあるらしい。

神眼
インド南部の寺院に何世紀も前から伝わるシヴァ神像の、第三の目にはめられた大粒のルビー。
ある時、1人の盗賊がこのルビーを盗み出したところ、雲ひとつない晴天だったにも関わらず、雷に打たれ死亡。
以降、この石にはシヴァ神の力が宿るとされ、信者からは敬われ、盗人からは恐れられた。

ブラックプリンス
317CTのスピネル。 色がルビーに酷似したために、18世紀までずっとルビーと一緒に分類されてきました。
ブラックプリンスは14世紀、スペイングラナダ王、アブ・サイド所有でしたが、カスティリア王ペドロにより暗殺され石もペドロのものになり、ペドロもまた兄弟のエンリケにそむかれてフランスに逃亡する羽目に・・・逃亡先のボルドーでイギリス皇太子エドワード「黒太子」に出会い、大型のルビーを譲ることを条件にエンリケ追討の協力を求めました。
結局エドワードはエンリケを破り、その後ブラックプリンスと呼ばれる石を手に入れました。
現在イギリス王冠にはめ込まれています。

フロレンティン
137.27CTのダイヤモンド。古い来歴は伝説的。1657年にフローレンスのメディチ家の所有になりました。
18世紀の間はハプスブルグ家の王冠につけられ、その後はブローチになりましたが 現在は消息不明。

ドレスデン
41CTの目の覚めるようなグリーンダイヤモンド。グロッシュラーガーネットと疑ってしまうくらい鮮やかな色。
幻に包まれ、正確な起源は不明、古い来歴も不明。1700年頃、サクソンのオーグスト公が所有していました。
現在はドレスデンのグリーンホールに保管されています。

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雨の呼び名

以前 月の呼び名というのを紹介しましたが、今回は雨の種類の呼び名を紹介しましょう。
英語でも、土砂降りのことを「Dog & Cat」などと言いますが、しばし日本の古式豊かな雨の呼び名をお楽しみください。

状態を表す雨の呼び名

驟雨(しゅうう)
  突然降り出す雨。俄雨(にわかあめ)。たいてい入道雲ができて雷と共に降ってきます。
地雨(じあめ)
  しとしとと振りつづく雨。纏わり付くようなうっとおしい雨。
肘かさ雨(ひじかさあめ)
  急に降り出した雨。肘を傘の代わりにして軒先まで走る様子からこう呼ばれています。
篠突く雨(しのつくあめ)
  篠とは群生する細い竹のことで、篠を束ねて突きおろすように激しく降る雨です。
  まさに槍が降っているようですね。
村雨(むらさめ)
  群雨/叢雨ともかく。群になって降る雨。玉が散っているような雨のことです。
怪雨(あやしあめ)
  花粉、黄砂、火山灰などいろいろな塵が混じって降る雨のことです。
天泣(てんきゅう)
  空に雲が無いのに細かい雨が降ってくることです。狐の嫁入りとも呼びますね
外待雨(ほまちあめ)
  自分の畑だけに降るような雨、局地的な雨のこと。近畿地方では私雨も呼びます。

梅雨が付く雨の呼び名

入梅(にゅうばい)
  梅雨に入る事をこう呼びます。最近はかなりおおまかになりましたね。
栗花落(ついり)
  梅雨入りのことです。この頃は栗の花が散るのでこう呼びますが、
  「堕栗花(ついり)」という字で表現する事も有ります。
五月雨(さみだれ)
  梅雨のことです。旧暦の5月に降る雨ですので今の暦ではちょうど梅雨時期ですね。
梅雨(つゆ)
  江戸時代頃から「ばいう」→「つゆ」と呼ばれるようになりました。
  漬「ついゆ」などが語源とされています。
菜種梅雨(なたねつゆ)
  3月下旬から4月 菜種の生る頃にかけて関東よりも西の地域で天気がぐずつくことです。
走り梅雨(はしりづゆ)
  5月の中旬から下旬にかけて梅雨を思わせるようなぐずついた天気が続く事です。
送り梅雨(おくりづゆ)
  梅雨があける頃の雨の呼び名です。
戻り梅雨(もどりづゆ)
  梅雨があけたと思ったらまた雨が降り続く事です。
空梅雨(からづゆ)
  雨の少ない梅雨の事です。
山茶花梅雨(さざんかつゆ)
  初冬に比較的短い期間ぐずつく雨のことです。

季節による雨の呼び名

時雨(しぐれ)
  晩秋から初冬にかけて、ざっと降ったかと思ったら、すぐに青空が戻ってくるような雨です。
村時雨(むらしぐれ)
  ひとしきり強く降っては通り過ぎてゆく雨のことです。
片時雨(かたしぐれ)
  ひとところに振るの時雨のことです。
横時雨(よこしぐれ)
  横殴りに降る時雨のことです。
春時雨(はるしぐれ)
  春なのに時雨を思わせるほどの冷たい雨の事です。
小糠雨(こぬかあめ)
  春先にしとしとと降る霧雨。ひそか雨とも呼ばれます。
春雨(はるさめ)
  いつまでも降り続く地雨のようなしっとりした雨。春の後半の菜種梅雨の頃の雨です。
  「春雨だ濡れて参ろう」なんて粋な台詞が有りましたね。
春霖(しゅんりん)
  3月から4月にかけて天気がぐずつく時期のこと。春の長雨とも呼ばれますが。
  地方によっては菜種梅雨と呼ばれます。
翠雨(すいう)
  青葉に降りかかる雨の事です。
緑雨(りょくう)
  新緑の頃に降る雨の事です。
麦雨(ばくう)
  麦の熟する頃に降る雨の事です。
甘雨(かんう)
  草木を潤う雨の事です。
瑞雨(ずいう)
  穀物の成長を助ける雨の事です。
卯の花腐し(うのはなくたし)
  旧暦の4月から5月の卯の花が咲く頃に降る雨。この頃の曇り空を卯の花曇と呼びます。
秋霖(しゅうりん)
  秋の長雨のことです。

日にち限定の雨の呼び名

虎が雨(とらがあめ)
  旧暦5月28日頃にに降る雨です。
  有名な仇討ち話で 曽我兄弟の仇討ちというのが有りますが、見事本懐を
  遂げたのが旧暦の5月28日、その時曽我兄弟の兄曽我十郎は取り巻きの武士に
  斬られて討ち死にしますが、彼には恋人がいました。
  それが「大磯の虎」とも呼ばれた遊女、虎御前で、彼女が悲しんで流す涙が命日に
  雨となって降ると言われ「虎が雨」と呼ばれるようになったと言う事です。
洗車雨(せんしゃう)
  旧暦7月6日に降る雨です。
  彦星が織姫に会う為に牛車を洗う水が雨になると言われています。
酒涙雨(さいるいう)
  旧暦7月7日に降る雨です。
  これは雨のために会えなかったということでは無く、
  年に一度しか会えない惜別の想いの涙だと言われています。
御山洗(おやまあらい)
  旧暦7月26日に降る雨。山の不浄を洗い清める雨です。
半夏雨(はんげあめ)
  夏至から数えて11日目の半夏生の日に降る雨です。
寒九の雨(かんくのあめ)
  寒に入って9日目に降る雨。豊年万作の兆しといわれます。

その他

作り雨(つくりあめ)
  打ち水のことをこう呼びます。
樹雨(きさめ)
  濃霧の森を歩いているときに木の葉からしたたり落ちてくる雨の事です。

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「殺人狂時代」

一人を殺せば犯罪者だが
     百万人を殺せば英雄だ。

          チャップリン「殺人狂時代」

あまりにも有名なフレーズですね。
今回はなんの説明も不要です。
以前紹介した「ガリレオ・ガリレイの生涯」や「反抗的人間」と合わせて考えると
とても興味深いですよね。

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前提的意識

以前 この「前提的意識」を考えずに文章を書いてしまったために
誤解を招くような表現になってしまいました。
文章を書く時にはわりとこれを利用するとこは意識しているのですが、
その逆を意識していなかったために紛らわしい文章になりました事をおわびします。

さて 今回はその表現を利用して文章をうまく省いたり、もしくは想像させる方法を取り上げて見ましょう。
この表現の基本形はSinさんもご指摘の通り、三段論法と言う物が有ります。

  A=B
  B=C
  故に A=C

つまり 端的に表現すると。

   要するに AってことはBだよね。
   でも BだとCっだって事になるんだけどね。

これで AすることはCする事になると言う表現と同じになる訳です。
ただ これでは 単に三段論法をそのまま書いたに過ぎません。
そこでこの何れかの部分を省略してしまいます。
そのまま省略するのは意味が有りませんが、これが誰もが思っている条件だったらどうでしょうか?
例えばB=Cの条件が誰もが知っている常識的な条件であれば、暗黙的にA=Cを頭の中で描いてしまいます。
あとは連想ゲームのようにいくつもの条件を暗黙のうちに繋いでいく事も可能になります。

では 一例として、

  彼は乾いた咳をコフコフと続けた。
    彼は掌に飛び散った血をそっと拭った。

この表現で、乾いた咳と喀血=結核 と言う図式が暗黙のうちに頭に描かれ「彼」が結核を患っていると言う事が容易に想像が付きます。
それと同時に、ひ弱である事や、時が時であれば余命幾許もないと言うことも結び付く訳です。

こうして 前提的意識をうまく使う事で、想像力をかき立てる文章や無粋な直接的表現を避けてセンスのいい文章表現をする事が出来ます。

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「厄除け詩集」

花に嵐のたとえもあるさ
  さよならだけが人生だ

    井伏鱒二「厄除け詩集」

なかなか感慨深い一節ですね。
いや そんなことは無い・・・と言いたい所ですが、
最終的な別れが死であるならばそりゃ避けられない事ですね。

ところで「嵐」と言えば最近ちょっと笑ってしまった事が・・・
TVでOAしている民主党のCMですが、
嵐の中で船長(党首)は、舵から手を離しちゃうんですねぇ(笑)
なんとも頼り甲斐のある党首をお持ちですこと・・・。

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ジョーク -民族性2

民族性をネタにした短いジョークを連発でいきます。



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三人の囚人がロシアの刑務所で自分たちの秘密を分かち合っていた。
「仕事に遅れたのでここに入れられたよ」と最初の囚人。
2番目の囚人は「私は早く来すぎたんだ。そしたら”帝国主義者のスパイだろ”って言われてね」
3番目の囚人が言うには「私がここにいるのは時間通りに着いたからさ。”西洋製の時計を持っているんだろ”、ということになってね」

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「ポーランドではコーラの瓶の底になんとかいてあるか」
「open other end(反対側から開けよ)」

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「セックスするのに何人のポーランド人が必要か」
「答えは3人。二人がその行為におよび、残りの一人が「HOW TO SEX」を読み上げるため」

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「人を誘拐するのに何人のポーランド人が必要か」
「答えは6人。一人が誘拐を実行し、残りの5人で身代金要求の手紙を書くため」

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「電球を取り替えるのに何人のポーランド人が必要か」
「答えは5人。一人が電球を握って、残りの4人でその人の乗っているはしごを回すから」

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「ポーリッシュ(ポーランド人)ジョークはどうしてあんなに短いか」
「イタリア人でも分かるように」

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神はまず天と地を作った。海と山を作った。そしてイタリアという国を作った。
イタリアには世界一うつくしい風景と、世界一おいしい食べ物と、世界一過ごしやすい気候を作った。天使がいった。
「神様、これではあまりにイタリアが恵まれすぎています!」
神はこたえた。

「心配するな。イタリア人を入れておいた」
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すみませんm(_ _)m
ジョークですから笑って許してやってください

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ジョーク -民族性

先ずは知ってる人は知っている有名なジョークから紹介しましょう。
そのままではなんですので ちょいとアレンジバージョンで

ある船に火災が発生した。船長は乗客に海に逃げるよう指示した。
アメリカ人には 「真っ先に飛び込んだらヒーローになれますよ」
イギリス人には 「紳士はこういうときに飛び込むものです」
ドイツ人には  「規則では海に飛び込むことになっています」
イタリア人には 「さっき美女が飛び込みました」
フランス人には 「海に飛び込まないで下さい」
ロシア人には  「最後のウオッカのビンが流されてしまいました。今追えば間に合います」
中国人には   「おいしそうな魚が泳いでましたよ」
北朝鮮人には  「飛び込めば共和国に帰らなくて済みますよ」
ポリネシア人は 黙ってても喜んで海に飛び込む。
日本人には   「みんなもう飛び込みましたよ」
韓国人には   「日本人は飛び込みましたよ」

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