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コンデンサのお話

では質問いただいたのでコンデンサのお話をしましょう。
できるだけ難しい数式は抜きにして説明しますが最初にひとつだけ式を書きます。

    1
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    2πRC

これは一般的にフィルター回路の周波数を計算する式です。
別に覚えてもらわなくても大丈夫です。要するにかっちりとした式があるという説明です。
この式のπは円周率なので約3.14と言う定数で、Rが抵抗値Cがコンデンサの容量になります。
大抵のフィルターは抵抗とコンデンサの配置により、この周波数を境にそれ以上をカットしたりそれ以下をカットしたりといった具合に作用します。

これはこの式のとおりに作用しますのでコンデンサや抵抗の絶対的な値が変わらない限りはこれに基づく結果(フィルタでカットされた音の質)などが変わることはありません。
・・とこう書いてしまうとどんな抵抗やコンデンサを使用しても値を変えなければ音質には影響が無いことになります。

ではどうしてコンデンサで音の質が変化するのか?
まずコンデンサの構造は簡単に言うと電極が2つありその間に電気を通さない絶縁体というものをサンドイッチした形です。
コンデンサの容量を決めるのは2つの電極の距離、つまり絶縁体の厚みと電極自体の面積、つまり広さです。
電極の広さが広いほど大きな容量になり、距離(厚み)が狭いほど大きな容量になります。

そこで一つ目に音の違いに影響してくるのは挟んでいる絶縁体の種類です。
例えばフィルムコンデンサと呼ばれているものの材質はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、スチロール等の材料がよく使われています。
コンデンサ容量が同じであれば周波数に対する音の影響は同じですが、この材質の違いによって電気の貯まり方やどの部分にたまりやすいかなどの(フィルムの僅かな厚みの違いなど)クセのようなものがあり、コンデンサを介して出力される音の波形をオリジナルよりもやや尖らせたり鈍らせたり(ほんの微小な変化です)します。
これが周波数には関係しないところでのニュアンスの違いとして出てきます。

二つ目は耐圧の違いです。
耐圧とはどのくらいの電圧にまで耐えられるかというもので、表記では 1uF 60Vなどと 記載された60Vの部分のことです。
耐圧は つまり挟んでいる絶縁体が何ボルトまで壊れずに使用できるかという限界点で ではコンデンサとして何が変わるかというと絶縁体の厚みが変わります。
耐圧が高いものの方が厚くなり、低いものの方が薄くなります。
その影響で耐圧が違って同じコンデンサ容量にするためには耐圧が高い(絶縁体が厚い)ものほど電極を広くしなくてはなりません。
オレンジドロップなどでも同じ容量で耐圧が高いものの方が大きいというのを見たことがある人も多いのではないかと思います。
物理的に厚みが変わるため最初の材質の違いでも話したように同じ材質でもクセが違ってくることがあります。そのためやはりニュアンスは若干影響を受けるようになります。
また 電極の広さが変わるためにそれ以上に影響を受ける事柄が発生します。
通常 電極の面積をかせぐには電極を 1/2/1/2/...と言うように絶縁体と交互に何層にもサンドイッチにする方法(積層)と1/2/と言うように電極と絶縁体を重ねた長いリボンのようなものをグルグルと巻く方法(ロール)が一般的です。
特に影響が出るのはロールして作られているものですがこの電極を巻いているという事が厄介でそこに電気が流れるとコンデンサがコイルとしての作用を起こしてしまいます。
もちろんコイルは音に対して影響を与えてしまいます。
つまり 耐圧が変化することで電極の長さも変わってしまうためコイルとしての巻数や厳密に言うとコイルを巻く直径も変わってしまうためコイルとしての値(インダクタンス)にも変化を与えてしまうことになります。

まだまだ厳密には影響するものはありますが、2つの例を見ていただいた事で何故コンデンサの種類だけで音が変わってしまうのか少しでも理解いただければと思います。

よくヴィンテージと呼ばれているものは中低音が非常に素直に出て高音が伸びやかで艶があるけれどもハスキーではない印象があります。

現行の国産ものだと 入力のカップリングに使用した時の印象は
ルビコン
  メタポリプロピレン 0.01u250V やや中音抜けが弱く高音は張りがある。
  ポリエステル      0.01u50V  中低音にはクセがなく高音が気持ちざらつく感じ。
ニッセイ
  メタポリエステル  0.01u50V 中温の抜けが良く高音はややのびやか。
  ポリエステル    0.01u50V 中高音の抜けが良くピーキーな感じ。
パナソニック
  メタポリエステル  0.01u125V 中音がややモッタリ感有り高音はヌケが良い。

・・・とまぁ 最終的にはどういった音が好みかってとこに落ち着きます。
個人的には malloy 0.01u 630Vが結構お気に入りでよく使用します。
印象は 中低音に艶があり高音がややキレがある感じです。

時代はどんどん表面実装化に拍車が掛かかり リード部品(従来の足の生えたやつです)が次々と生産完了になり クセのあるパーツがだんだんと入手しにくくなってきました。
ローノイズのチップコンデンサで画一化された音を好みに合わせるためにDSPでいじるって時代は願い下げですよねぇ

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コメント

はじめまして
instaからたどり着きました。サラっと書いてますけどすごい深い話ですよね 自分もよく自作しますがコンデンサ付近に手を触れただけで音が変になったりという経験があります。それだけコンデンサってパーツは影響力が強いってことですかね

投稿: Tarisman | 2016年3月23日 (水) 16時05分

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